【冬は橋】世界のお手本〜ドイツの斜張橋
ドイツ デュッセルドルフ
ドイツの西部、ライン川河畔に位置するデュッセルドルフは人口60万人で、日本人が6千人ほど暮らしている街です。それもそのはず。欧州でも最も日本企業が多く進出していて、どこへ行っても日本人の姿が多く見られるという珍しい街です。だからか、ドイツ人はわざと「ヤーパンドルフ」(ヤーパンはドイツ語で日本名の意味)と言います。街の中心部、インマーマン通りは日本語の看板がたくさん見られます。日本人用の旅行社や書店、レストランにクリーニング屋など目白押しです。本格的な日本食が多くあり、ケルンに住んでいた時に、よく和食好きのドイツの友人とデュッセルドルフまで来ては、貴重な和食を堪能しました。
さて、ライン川はアルプスの雪解けの時期になる4月から5月になると水かさを増し、急流となります。そのライン川にかかるデュッセルドルフ市内の橋は5つあり、川を越えた隣町、オーバーカッセルなどに繋がっています。その中でもラインクニー橋(ラインの膝という意味)が印象的なのは、すぐ近くにラインタワー(234メートル)が立っていて、橋とタワーのロケーションが絶妙なバランスを保っているからです。タワーの展望台から見下ろすラインクニー橋の美しさは息を飲むほどです。川を行き交う運搬船やヨットやジェットスキーがすぐ真下に見え、橋の下を通り抜けて行くのを眺めていると時間が経つのも忘れてしまいそう。
橋は1969年に完成した長さ561mの斜張橋で、歩道や鉄道はなく片側3車線の自動車専用の橋です。写真で見る通り、中央高さ114mの一対の鉄塔があり、そこから斜めに張った多数のケーブルで橋全体を吊っています。このため、視界を遮るものが殆どないのでスマートなデザインに仕上がっています。橋はドイツ人エンジニアのフリッツ・レオンハルトによるデザインによるものです。無駄を省いたデザインはドイツ人好みですね。これら斜張橋の原型はドイツのものが世界で最初で、最近ではコンピュータ解析の技術の進歩で、更にスリム化しています。
斜張橋は日本でも多く見られます。横浜ベイブリッジ、そのモデルとなった名港西大橋(名古屋)、葛飾ハープ橋(東京都)、多々羅大橋(広島県)などです。これらの橋はラインクニー橋より16〜18年後に作られています。日本で最古の斜張橋の尾道大橋(広島県)は1968年に開通しているので、ラインクニー橋の前年に開通しています。
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