【魅力的な建物】湖に面する妖精の家
トロールハウゲン・ノルウェイ
「北欧のショパン」と親しまれているノルウェイの作曲家エドワード・グリークの家は湖が見渡せて、さらに木立に中にある木造建築です。「妖精の住む丘」という意味を持つトロールハウゲンという所にあり、64歳の時肺がんで亡くなるまでの22年間を愛妻ニーナと過ごしました。ニーナ自身も歌手でピアノの名手だったそうです。日本でも、グリークの名前は知らなくても、イプセンの戯曲でグリークが作曲した「ペール・ギュント」は有名ですね。
音楽専攻の私にとっては作曲家の家や彼らにちなんだ博物館に行くのは旅の中の楽しみのひとつですが、グリークの家より抜きん出ている家はかつて見た事がありません。ロケーションもさるものながら、ノルウェイ伝統的な木造建築がとても可愛くてイチオシの一軒です。フィヨルド(峡湾の意味のノルウェイ語で、100万年前氷河による浸食作用によって形成された複雑な地形の湾)の自然に囲まれながら作曲した数々の曲を頭で描きながら散策をするのもおつなものです。
木造のしゃれた造りのクリーム色の家は、まさにフィヨルドの湖を見下ろすことができる丘の上に建っています。館内は博物館になっていて、グリークの生い立ちをまとめたビデオも上演しています。俳優が演じているので一生がよくわかる仕組みになっていました。2階は見ることが出来ないけれど、1階と大きな森といっても過言ではないくらいの庭もゆっくり散策できました。
湖と平行した場所には作曲小屋もありました。この素晴らしい自然の偉大な息吹を感じられる曲も多いけれど、この小屋から名作が生まれたのかと思うと感激もひとしおです。中には入れませんが、ガラス越しで眺めることができました。
入江には岩石のようなところに夫婦のお墓があって、そのあっけない意外さに驚きました。足元を見ながらお二人の墓地を探していたので、まさか、岩にはりついているとは誰が思うでしょう?そしてここまでどんな手段で墓石など運んだの?と疑問がわきました。荼毘されたあとには湖にも遺骨がまかれたそうです。
毎年6-8月はグリーグのコンサートをしています。彼の家ではコンサートが手狭になったので、2千人も収容できるモダンなコンサートホールを生家の近くに建てられました。22年住んだ家の展示をゆっくり見ながら、そしてフィヨルドの最高なるロケーションを見ながら彼の曲をたくさん流して聴けるとは、中々心憎い演出ではないでしょうか?
新たなグリーク像のイメージがわいて未知なるピアノ曲を弾いてみたくなりました。
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