【魅力的な建物】心がはずむバン・パイン宮殿

タイ・アユタヤ

toku160719_01.jpgアユタヤは14世紀にウートン王が建立した都で、18世紀にビルマ軍に破壊されるまでの417年間アユタヤ王朝の首都でした。チャオプラヤー川とその支流に囲まれた地形の恩恵を受け、17世紀はじめには欧州や東アジアとの国際貿易で繁栄しました。1991年にユネスコの世界遺産にも登録されている仏塔遺跡や一連の荘厳な遺跡群はとても有名ですが、ご紹介したいのは、その有名すぎる遺跡ではなく、西洋や東アジアなどと貿易の歴史を伝える国際色豊で、まさに「素敵な建物」オンパレードのバン・パイン宮殿です。

バン・パイン宮殿はアユタヤ王朝の中心部であったアユタヤ島の南およそ17kmのところにあり、西洋と東洋の文化が交錯する仏教寺院と言えるでしょう。その国際色豊かな建物は、その当時盛んだった国際貿易の賜物です。16世紀始め、ポルトガル、イギリス、フランスなどの西洋諸国やマレー、ベトナム、中国、日本などがアユタヤ王朝との交易をしていて、最盛期には日本人だけでも千人を超していたとも言われています。この宮殿はアユタヤ王朝24代のプラサート・トォン王が17世紀に建てた離宮で、雨季や冬に歴代国王が使った別荘でした。18世紀のビルマ軍侵略以来、放置されていましたが、チャクリ王朝のラーマ4世、5世により19世紀に再興されました。

まず目を引くのは、湖の中央に光輝く「プラ・アイサワン・ティッパート。タイ風建築のとても美しい建物で、湖面にそのエレガントな姿を映しています。当時の王様や王妃が庭園を散歩し、ここでゆっくりと休憩をしたのでしょう。

その右奥にあるルネッサンス風の建物とは好対照で、東洋と西洋の異文化の不思議な対比が印象です。異国情緒溢れる景色は何とも不思議な感覚です。16〜17世紀に栄えた国際貿易港という歴史的背景を知らなければ、単に東西文化のチグハグな宮殿としか目に映らなかったかも知れません。歴史を紐解いてからいざ建物を見ると、色々な背景が理解されます。

同じ庭園のすぐ近くにある「プラ・ティナン・ウェーハート・チャルムーンは19世紀終わりに建てられた中国風建物です。そのすぐ横には見晴台として建てられた「ホー・ウィトゥーン・タッサナー」があります。急な階段を登って、上から眺める中国風建築は緑の庭園や青い湖とあいまって、息を飲むほど美しいものです。見晴し台そのものも不思議な形と色をしていて、西洋風にも見えます。

異国情緒に溢れるタイの古都。その歴史的なそれぞれに趣のある建物を見ながらゆっくりと時間を過ごすのが個人の旅の楽しみです。

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特集 特集記事   記:  2016 / 07 / 19

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