【素晴らしき世界と日本の川と河】最後のインド旅、母なるガンジス川
インド
ヒンドゥー教徒の憧れはヴァラナシにあるガンジス川で荼毘されることです。「偉大な母」と呼ばれるガンジス川。流域には4億人ものの人間が暮らしており、川の水には大腸菌がうようよといます。そんなことも気にしないで沐浴に励んだり、洗濯をしたり歯磨きをしたりとすごい人間模様が展開されています。
ヴァラナシはインドの最上級に値する巡礼の場所で、ガンジス川ではどんな罪でも流すことができるという言い伝えがあります。そして輪廻から解放されるので、この地で死ぬことが人生の最高の喜びとされています。現に「死を待つ人の家」という施設があり、死が近い高齢者などがガンジス川で最後を迎えようとインド各地からやってきます。ちゃんとスタッフがいてそこで余生を送っているのです。
川沿いには、沐浴をするためのガートと呼ばれる、階段状になっているところが83箇所もありカラフルな色のサリーをまとったまま、沐浴をしている人や、泳いでいる人もいます。
ツーリスト用にはなんと「火葬場見学コース」があり、マニカルニカ・ガートには特に大きな火葬場があるため、ボートで繰り出して行きます。なんとかお金をぼったくろうとする悪徳業者は無視して、なるべく良心的なコストを言ってきた若いお兄ちゃんのボートでまわることにしました。
なんでもオレンジ色の布を巻いているのが女性なのだそうで、竹でできた担架に死体が火葬順番待ちのために並んでおります。死体を運ぶ人、焼く人はカーストの中でも最下位の仕事。そして、親族でしょうか?ガンジス川の水で清めて、祈りを捧げた後、マリーゴールドの花で遺体の周りを飾っていました。ボートのお兄ちゃんは、勢いよく燃えている火の薪が高価な白壇で、お金持ちなんだよと言いました。薪の量と種類がさらにあるそうです。そう言われてみると、しょぼくて勢いのないのもあります。だいたい3−4時間で燃えるらしいです。
こんな間近で見も知らない人の荼毘されている姿を見せつけられては、いくら陽気な私も暫し声も出ませんでした。インドでは何でも普通に存在するのでしょう。しばらくボートは止まってくれていて、もし火葬場まで足を運びたいなら自由に行ってくださいと言いましたが、私たちはそのまま何とも言えない気持ちで戻りました。心の中がショック状態で空っぽになり、感情がストップしてしまったのです。
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