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わたしこんなの買ってはる
みんなを幸せにするペルーの誕生パーティ!
ペルー・リマ
ペルー人は誕生日を大切にし、老いも若きも盛大に祝う。主役を盛り上げるのは世界共通だが、お祭り好きのペルー人にとっては「誕生日に集う」こと、つまり家族や友人と楽しい時間を共に過ごすことは、とても大切な要素なのだ。
そして今日はカルメンの46回目の誕生日。今夜はもちろん誕生パーティー!友人と私も彼女の誕生日を祝福するために、ワインやピスコを片手にリマ郊外のカルメン宅を訪問した。
夕方になり、仕事を終えたカルメンの友人や親戚たちがちらほらと集まってきた。招く側、招かれる側に関係なく、手の空いた者が料理を手伝い、テーブルをセットし、そして勝手に飲み始める。
今夜の料理は、特製サルサ(ソース)をじっくりしみ込ませて炭火で焼いた鶏肉のパリージャ(バーベキュー)と、付け合わせの茹でたジャガイモとトウモロコシ。ペルーご自慢のジャガイモはほくほくとして味が濃く、黄色い唐辛子とチーズで作ったワンカイーナソースとの相性が抜群だ。採れたてのトウモロコシは噛むほどに甘みが広がり、リマのスーパーで売られているものとは全然違っていた。やはり地産地消が一番、メインディッシュの鶏肉よりもこの甘いトウモロコシが病みつきになる。
そんな中、私の友人がツナとアボガド、きゅうりを使った手巻き寿司を皆に振る舞った。「ヘルシーな食べ物」としてペルー人にも人気の巻き寿司だが、中には海苔が苦手なセニョーラも。黒くて薄くてぺらぺらした見慣れない物体をそっと外して、中身だけ食べる様子がなんとも可愛らしかった。
さあ、踊ろう!マリアッチがギター片手にテンポよく歌い始めると、もう居ても立ってもいられない。ペルー発祥の打楽器、カホンの軽快なリズムが響き渡ると、あどけない少女から70歳過ぎのカバジェーロ(紳士)まで、みな思い思いに踊りだす。子供の頃から踊っているから当然かもしれないが、よくもまあこれだけ全身が動くものだ。盆踊りの規則正しいリズムが遺伝子にまで浸みこんでいる私が踊ると、どうもカクカクしてしまうのだが、友人は見事な腰つきで踊りまくっていた。リマ暮らしの長い彼女、どうやら身も心もすっかりラティーナらしい。
こうして8時間にも及ぶパーティが終了した。豪華なプレゼントこそなかったが、カルメンの健康と幸せを願う人々の心を込めた祝福は、何にもまして価値のある素晴らしいものだった。参加者全員を温かく、そして幸せな気分にしてくれる最高のイベント、それがペルーの誕生パーティ。ペルー人が誕生日と聞くととにかく集まりたがる理由が、少し理解できたような気がした。
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特集 : わたしこんなの買ってはる 記:原田 慶子 2009 / 04 / 21