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わたしこんなの買ってはる
"プッラ"シナモンロールの旅―フィンランドの元気の素との出会い
フィンランド・ヘルシンキ
朝のフィンランドのカフェ
3月末のフィンランドはヘルシンキ。日中は10度前後まで気温が上がるが、夜にはまだ完全防備じゃないと外に出られない。
「寒いなあ、もう」、そうつぶやきつつ私が毎朝通うのが、オールドマーケット内のコーヒーショップ。フィンランドはコーヒー消費量世界一を誇る。そしてコーヒーのお供として欠かせないのが、「プッラ」と呼ばれる甘いパンである。
プッラとはオーブンで焼く、菓子パンの一種。ここではスイーツといえばケーキよりパン。プッラは間違いなくフィンランドを代表する「超重要スイーツ」だ。味はバターロールをほんのり甘くしたようで、粗挽きのカルダモンのいいにおいも効いている。このパンとコーヒーとの相性は抜群。
かもめ食堂にも行ってみました
オールフィンランドロケで話題の映画『かもめ食堂』で一躍有名になったシナモンロールも、プッラ生地がベースになっている。フィンランド語でkahuvipulla(コーヒーパン)の名の通り、コーヒータイムのお供にいちばんの人気だ。フィンランドのカフェの典型的な風景は「コーヒーにプッラ」とそれを楽しむ人々と空間。「フィンランドのスイーツはやっぱりプッラ」なのである。
カフェやパン屋さんで買うだけでなく、家庭でも気軽に焼かれている。その家ごとにレシピがあるそうだが、粒砂糖がかかっているのが北欧スタイル。
それぞれプッラの中に材料として何を入れるか、という意見はフィンランド人それぞれでとってもはっきりしている。それはその家族の中で脈々と受け継がれていくもので、ある人はプッラにはカルダモンがたくさん入っていなければならないと言うし、他の人は、レーズンの入っていないプッラなんてプッラではない、と言う。
子供たちは冷たいミルクとプッラ、大人なら入れたての熱いコーヒーとプッラを楽しむのがフィンランド流。
何を買おうか? フィンランドスイーツを迷う楽しみ
朝の楽しみであるコーヒーとプッラ
雪が溶けてもうすぐ春
フィンランド人にプッラへの愛情について聞いてみた。プッラとコーヒーについて一言!
大好きだから毎日食べたい! でも、なぜだろう? わからないな。たぶんすごく美味しいからだよ。
私もフィンランド人のまねをして、焼き立てほかほかのプッラをパクリと頬張ってみる。体を温めるといわれるカルダモンの香りに、心も体もあたたまってきた。プッラとコーヒーをおなかにおさめれば、なんだか元気が出てくるから不思議なのだ。フィンランドの元気の素をいただいて外に出れば、なんとなく空が明るい。春はもうすぐそこだ。
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特集 : わたしこんなの買ってはる 記:布施 倫英 2010 / 04 / 19