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わたしこんなの買ってはる
昆布がつなぐ北と南の幸せな出会い――沖縄昆布事情
那覇市・沖縄
もう沖縄は夏
まだ夜はうすら寒い北海道から、すっかり夏の気配がただよう沖縄へ。
北海道ではお目にかかれないものをいただく気満々で那覇入りした。さっそく食料品店に駆け込む。お目当ては豚肉料理。
と、ここで意外なものとばったり出会った。昆布である。
沖縄の食文化は「豚一頭を食べ尽くす」と言われるほど、よく豚肉を使う。多くの料理が昆布をだしとして使っているという。豚肉の脂によって、昆布は柔らかくなり、旨味が増す。味覚のうえでもさっぱりとした昆布を豚肉と一緒に料理することで、あっさりとこってりの絶妙なバランスが味わえる。体にいいだけでなく味もすばらしい。
あつあつのてびちの煮物
副菜も昆布
昆布は沖縄では穫れないのだが、昆布の消費量は全国でも一、二位を争うそうだ。沖縄に昆布が持ち込まれたのは琉球王国時代。中国への交易品として北海道から島に入ってきたものが徐々に人々の間に広まったという。特に豚肉との組み合わせが人々の嗜好に合い、独特の風土料理を作り上げたと言われている。沖縄料理の特徴である豚肉料理と昆布の相性が抜群だったのだ。
昆布は乾燥保存食品で、暑い沖縄の風土にうまく適合した。台風が襲来した災害時等にも、非常食として重宝がられて沖縄の風土にぴったりの食品だった。
これが昆布だしの肉そば
市場で日高昆布発見!
さっそくてびちの煮込みをいただこう。てびち=豚足のゼラチンはコラーゲン質たっぷりだ。そして沖縄でこれを食べないわけにはいかない肉そば。豚だしと鰹だしが一般的だが、昆布だしを試してみる。豚の脂がまろやか。その他にも豚肉、鶏肉、昆布を入れた汁物のイラブー料理、豚肉、切り昆布、こんにゃくをいため蒸したクーブイリチー料理、昆布巻きのクーブマチ、豚足、昆布、大根を煮たアシティビチなどのたくさんの昆布料理がある。 普段北海道の食卓で目にする昆布とはちょっぴり違う。昆布の新たな一面を発見した。
なかなかやるね、昆布。 沖縄の食卓で、昆布がつなぐ北と南の出会いは幸せたっぷりなのだった。
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特集 : わたしこんなの買ってはる 記:布施 倫英 2010 / 05 / 28