買ってらっしゃいませ、お客サマー

ピラニア釣って虫食べて――ペルー・アマゾンの旅その1

ペルー・イキトス

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グレーイルカの群れ。
素早い動きにカメラが追いつかない!
ペルーの国土の約60%は熱帯雨林地帯だ。アンデス山脈の氷河から融けだしたわずかな水が長い時を経て川となり、北部ロレト州の州都イキトス付近で大河アマゾンとなる。豊かな自然と多様な動植物、すべてを育むアマゾン川。そんな未知なる世界イキトスを友人とともに訪れた。

まずアマゾンを代表する生き物ピラニアを釣りに。牛肉をつけた釣り針を川に投げ込んだとたん、魚が餌をつつく気配が竿から伝わってくる。しかしいくら素早く竿を上げてもなかなか釣れず、肉だけがどんどん小さくなってあっという間になくなってしまう。肉に食いつく一瞬を狙って針を引っ掛けるピラニア釣りには、ちょっとしたコツと瞬発力が必要だ。

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アマゾン川のギャング、ピラニア
最初にピラニアを釣ったのは友人だった。鋭い歯と血走ったかのような目、顎から胸元に掛けての赤い色が見るからに凶暴そうである。「噛まれると小指くらいは食いちぎられるよ」と、一緒に釣りをしたスタッフが自分の手足の傷を見せてくれた。針を抜く時にやられることが多いのだという。本来は臆病で人を襲うことなどまずないと聞くが、あの傷を見たらアマゾン川で泳ぐ気にはなれない。

アマゾンカワイルカとの出会いにも感動した。ピンクやグレーの小型のイルカで、アマゾンの固有種だ。絶滅危惧種に指定されているそうだが、今回の旅では何頭ものカワイルカを見ることができた。
こっちにいたかと思うとすぐ向こうで飛び跳ねるイルカたち。その機敏な動きに思わず驚嘆の声が上がる。

そして忘れてはいけないのが食との出会い、イキトス名物「Suri/スリ(スーリ)」だ。アグアヘというヤシの木に生息するゾウムシの幼虫で、現地では栄養豊富な食べ物として好まれている。代表的な調理方法は、丸々とした幼虫を生きたまま串に刺し、かりっと焼き上げるスリの炭火焼だ。「旅行先では地元料理を」というのが私のポリシーだが、さすがにスリに関しては躊躇があった。しかしここで引き下がってはオンナが廃ると、恐る恐るかじってみた。

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スリの串焼き。頭のテカリ具合が気になる
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とりあえず一口。皮は固めで中はとろり
味は……
思ったよりも美味しい。カリッとした皮の中からとろりとクリーミーなものが出てくる。バターのようなコクがあり、まるで白子のような食感だ。私の様子を見ていた友人も釣られて一口。「なんかぷにゅっと出てきた……」と複雑な顔をしていたが、香ばしい白子という意見で一致した。醤油かポン酢があればなおよしといった感じだ。

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スリをかじる少女。これが団子なら可愛いのだが
虫を食べてみるという目的を達成した私だが、やはり一串完食する気にはなれなかった。特にテカテカと光る頭の部分を見ると食欲が落ちる。残りをどうしたものかと思案していると、1人の少女がじーっとその串を見つめているのに気がついた。「これ、欲しいの?」と聞くと黙って頷く。食べかけの串を渡すとパクッと齧り付いた。愛らしい仕草と言えなくもないが……。

ともあれ新しい味を体験することができて大満足だ。イキトスには美味しい食べ物がいっぱいあったが、やはりこの味は忘れられない。次回はぜひ醤油持参で来ようと思ったのだった











特集 買ってらっしゃいませ、お客サマー   記:  2010 / 10 / 04

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