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冬にそなた、なに買った?
5000人の子供たちに愛の手を。クリスマスのホットチョコレート。
ペルー・リマ
寒さの厳しい日になぜか飲みたくなるのが、甘くて濃いホットチョコレート。一口飲むだけで、身体だけでなく気持ちも温かくなるから不思議だ。ホットチョコレートには、きっと人を幸せにする魔法の力があるに違いない。
南半球のペルーでは、街にクリスマスソングが響くこの時期が夏の始まりだ。街のイルミネーションがクリスマス一色になると、人々はプレゼント探しにパーティーの準備にと大忙し。リマが1年で一番華やかな季節になる。
しかしそんな華やかな世界とは程遠い現実もある。
貧富の差が激しいペルー。富の集まるリマ中心部とその郊外では、人々の生活に雲泥の差がある。水や電気さえままならない貧困地域では、子供たちにクリスマスプレゼントを与えてやることができない家庭がほとんどだ。
そんな子供たちに、ほんの少しでもクリスマスを楽しく迎えてもらおうと行われるのが、「チョコラターダ・ナビデーニャ」。"クリスマスのホットチョコレート"という意味の、温かい想いがいっぱい詰まったイベントだ。今回は、ある日系人団体が毎年行っているチョコラターダ・ナビデーニャの様子をご紹介しよう。
12月のある日、リマ郊外の貧困地区にある孤児院でそのイベントは行われた。対象地域の子供たちには事前に整理券が配られているが、その数はなんと5000枚以上!みんな朝早くからやってくるが、中にはまだ夜が明けきらぬうちから何10キロも歩いて来る子もいるという。
孤児院の中庭では、大勢のボランティアスタッフがパネトンという甘いパンを切り分け、準備に追われていた。飲み物はもちろん甘い甘いホットチョコレート。
さあ、チョコラターダ・ナビデーニャの始まりだ!
何時間も待っていた子供たちが入口からなだれ込んでくる。スタッフから1人1人パネトンとホットチョコレートをもらうと、その場ですぐに頬張りはじめる子供たち。
しかし中には黙ったままひったくるようにカップを受け取る子や、人の多さに圧倒され泣き出しそうになる子など様々。そんな緊張しきった子供たちが、ホットチョコレートを口にした途端、こぼれるような笑顔を見せる。その笑顔のパワーが朝から立ちっぱなしで働くスタッフにも広がって、孤児院中が温かな空気に包まれていく。幸せなひととき、これぞホットチョコレートの魔法の力!
子供たちに、そして大人たちにも笑顔を与えるクリスマスのホットチョコレート。初夏のリマでの、心温まる素敵なイベントだ。
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特集 : 冬にそなた、なに買った? 記:原田 慶子 2009 / 01 / 05