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vol.4 渡辺順子
【プロフィール】
渡辺順子 (34歳)
貼り絵作家。貼り絵に出会ってから10年間、明けても暮れても作り続け、1000点を超える作品を完成させている。本屋のしおり作りから始まり、こども達に貼り絵を教える文化事業や名古屋や原宿で個展を開くなど、めざましい活躍をするクリエーター。
創作はりえのHOMEPAGE
http://www.jun-w.com/
【渡辺順子さんに7つの質問】
Q1:貼り絵に出会ったきっかけは?
きっかけは24歳のころです。当時は元から絵を描くのが好きだったので、イラストレーターを目指していたのですが、ライバルが多く、芳しくない状況でした。そんな時、年末年始に体調を崩し、入院することになりました。お見舞いに来てくれる人が、病院の裏にある折り紙屋で高級な和紙を買ってきてくれたのがきっかけです。その和紙を使って、貼り絵の年賀状を作りました。すごく喜ばれましたね。
Q2:貼り絵作家を目指したのはなぜ?
しばらく体調が優れなかったのですが、母親が完成した貼り絵を持って、近所の本屋や文房具屋に行ってくれました。なんと、その営業(笑)が功を奏して、本屋の開店時に配るしおり100枚に貼り絵を付ける仕事が来たのです。その後、営業をする際にイラストと貼り絵を見せると、たいてい貼り絵の方に興味を持たれます。そこで、貼り絵の方にシフトしていきました。
Q3:突然の方針決定はうまくいった?
最初は文房具メーカーへ片っ端から貼り絵のはがきを送りました。営業のイロハもわからないので、アポイントもなしで、単に送りつけていたのですが、ついに電話がかかってきたのです。「青い鳥」という文具メーカーの社長さんからで、ポチ袋の仕事を受注することになりました。
その後は、年賀状のムックに掲載する作品などのお仕事を頂くようになりました。
Q4:年賀状は季節モノの仕事では?
年賀状は年始めには翌年のお仕事が終わってしまうので、その他の時期は貼り絵教室で教えることもあります。地域センターで創作和紙はり絵を教えるのですが、伝統文化事業と言うことで、国から費用をもらえるのがうれしいですね。
Q5:個展などは?
昨年はJRの名古屋駅で個展を開きました。70点展示したのですが、額装してもらったらなかなかの見栄えになって、我ながら驚きました(笑)
Q6:トラブルやつらいことはあった
コンペや公募に出して落選したり、営業をして相手にされないということはあります。でも、楽しいからやっています。おそらく、お金が稼げなくても、貼り絵は続けていたでしょう。仕事になっているのはラッキーという感じです。トラブルではないですが、和紙はそれぞれが違う色味なので、出会ったときに買わないと、二度と手に入りません。それが面白いところでもありますが、部屋には大量の紙が山積みになってます。
Q7:今後のプランは?
貼り絵の絵本作家を目指しています。今のところ、文章がうまく書けず壁になっているのが悩みですが、絶対に実現させたい目標です。そこで、まずは外国絵本の翻訳を手がけたいと考え、去年から日大の英文科に通い始めました。もちろん、ゆくゆくは自分でストーリーを作りたいですね。
取材を終えて—
貼り絵の実物を初めて触ったが、非常に暖かみのある創作物だ。年賀状やポチ袋をはじめ、雑誌のイメージカットやお酒のエチケットなど手広く活躍されているのも納得。イラストレータよりも圧倒的にレアなので、引っ張りだこなのだろう。それなのに、“貼り絵”の絵本作家になるという強烈なモチベーションを維持しているのにも圧倒される。遠くないうちに、渡辺さんの絵本が読めることは間違いないだろう。
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