勝手に読書録
イン・ザ・プール
作者名:奥田 英朗
ジャンル:小説
出版:文春文庫
イン・ザ・プール
空中ブランコ
電車中読者の方はご用心。
思わず「アハハ」とやっちゃって、慌てて周りを見回したりすることになる。間違いない!
「イン・ザ・プール」を含む短編5話のオムニバス。
「伊良部総合病院」の地下にある神経科。
風邪をひいたら内科。怪我をしたら外科だとしたら、立ち直れないほど落ち込んだら、「伊良部総合病院・神経科」のDr.伊良部にかかるといいかもしれない。
ドクターと患者との抱腹絶倒のやりとり。患者は「わけわからん」と目を点にしているうちに症状が見事に消える。
理屈を言えば「非指示的療法」の典型でやっちゃってる!このドクター、チャランポランに見えて、なかなかどうして名医なのだ。
訪れる患者ごとに1話完結。
あっという間に5話読み終わってしまっても、続きはないものかと残念でならない。続けようと思えばいくらでも行けそうな、ぜひTVドラマ「伊良部総合病院・神経科」としてシリーズ化してほしい。
さしづめDr.伊良部には西田敏行あたりが適役じゃないかな?。そう、あの「釣りバカ」の浜ちゃんが精神科医だったら…そんな感じ。
期せずして本作を読み始める前に「ウランバーナの森」を読んだとしたら「そうか、伊良部さん、請われればナースも連れて軽井沢まで出張診療もするのかー」と思ってしまう。
ニヤニヤしたり、ガハハと笑ったりしているうちに、なんだか「ポッ」と身の内が温かくなってくる。