勝手に読書録
かいしゃいんのメロディー
作者名:大橋 ツヨシ
ジャンル:4コママンガ
出版:竹書房漫画文庫
かいしゃいんのメロディー(1)
作者・大橋ツヨシの別マンガに『るすばんの達人』(竹書房)という作品がある。以前のこと、この作品を電車内で読んでいたところ、見事に笑いのツボを押されてしまった。真っ昼間の京浜急行のシートで下を向き、悶絶する男。比較的空いていた電車だったことが救い……いや、逆目立ちしていたはずである。まあ私の場合、本屋で立ち読みをしていても同じ症状に陥ることもあるのだが(笑)。
その大橋ツヨシの代表作が『かいしゃいんのメロディー』(竹書房漫画文庫)。主人公格である「うずら谷」を中心に、会社周辺で起こる出来事がネタになっている4コママンガだ。
このマンガを人に勧めた場合、返ってくる感想はおおむねでふたつに分かれる。
「クスりともしなかった」人と「腹ぁ抱えて笑った」人である。先に書いた『るすばんの達人』も、というより、すべての大橋ツヨシ作品は、徹底的な不条理というかナンセンスというかシュールというか……これらがドーンと押し寄せてくる感じ、なのである。
たとえば、
課長がうずら谷を探している→なぜかビルの窓の向こうにいる→課長「なぜそんなところに!?」→ワシに連れ去られるうずら谷
という感じ……伝わってねえよな、絶対(笑)。まあこれを機に実際の4コマを見てもらうとして、2コマ目から頭に「?」が浮かんでしまうと、4コマ目は確実に「??」なので「クスりともしなかった」となるのだが、「腹ぁ抱えて笑った」と言う人は4コマ目で爆笑しているはずである。「だってワシだよ、おい」などと言いながら。
ときおり社会風刺などの毒も含みつつ、放たれ続ける不条理でナンセンスでシュールな大橋ワールド。第1巻を手に取り「腹ぁ抱えて笑った」人は、あっという間に全4巻に到達せずにはいられなくなること請け合いである。
だからといって買った包みを電車内で開けてしまうのは避けたほうがいいけどね、たぶん。