勝手に読書録
甲子園だけが高校野球ではない
作者名:岩崎 夏海(監修も)
ジャンル:ノンフィクション
出版:廣済堂出版
甲子園だけが高校野球ではない
熱戦が毎日展開され、私たちにたくさんの感動を与えてくれている夏の甲子園。
本書のタイトルは『甲子園だけが高校野球ではない』ではあるが、それは甲子園をめざして日々努力をした選手や裏方、家族の物語。様々なストーリーが『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(もしドラ) 』でもおなじみの著・監修者によって21のエピソードでまとめられており、一編一編が小説と言うより新聞のコラム記事といった感覚でとても読みやすい。
甲子園出場という夢を果たせなかった選手達にもさまざまなドラマや感動があり、ひとりひとりに教わったこと、与えられたもの、野球が出来る喜びなど、野球を通して大切なことをたくさん学んでいることがよくわかる。子も親も甲子園という大きな目標を前にそれぞれの夢があり、それは時に形を変えて叶えられていく。一生懸命努力することで、充実感や感謝をする気持ち、その努力をしている姿は誰かが見ていて、そして支えられている。
高校三年生が最後の試合で見せる涙は、決して負けたための悔し涙だけではなく、この同じ苦労をともにがんばってきた仲間と、もう同じフィールドで野球が出来なくなってしまうから流す涙だと知った。
負けて学ぶもの、挫折して学ぶもの、この高校生活でひとつの目標に向かって努力した一瞬の夏は、必ず永遠の夏になる。それは、野球だけにかかわらず、この一瞬の輝きが人生をささえる一生の輝きとなるのであろう。
夢に向かって努力すること……その輝きに私たちは感動するのである。