勝手に読書録
ウェブでの<伝わる>文章の書き方
作者名:岡本 真
ジャンル:ハウツー
出版:講談社
ウェブでの<伝わる>文章の書き方
私事で恐縮ながら、自分が書いた原稿が初めて雑誌に掲載されてから今年(2013年)の11月で18年になる。今年36歳の私としては、生まれて半分をライターや編集者として活動してきた……まあ厳密には駅員さんだったりした時期もあるわけだが(笑)。
そんな18年間のライターやら編集者としての生活で、80%以上はいわゆる“紙”の媒体で活動してきた。webでも少しばかりのお仕事と、そして当時所属していた会社のホームページに原稿を書いたりしていたが、そこでは紙の仕事と同様に、原稿を書いてwebサイトの担当者に渡したり、ホームページ構築ソフトを使って勝手にアップしていただけ。故、紙であろうとwebであろうと、私が書いている原稿は内容はともかく、“性質”は一緒だったわけである。
それが約4年前、この「あそびすと」サイトに関わるようになって以後、原稿を書くだけじゃなく自分でページを作成して公開まですることになった。いや、正確には関わり始めは原稿を書くだけだったのだが、それを公開してもらう際にいろいろと原稿上の不都合があることを指摘された。
それまで書いていた原稿では「一」など一角の数字は全角で「1」、「十」など二角の数字は半角で「10」。「百」、「千」など三角以上は全角で「100」、「1000」などとしていたのだが、数字はすべからく半角で打つと教えられ、また文頭の“一角アキ”は必要ないなど……紙の本では誰が手に取っても同じ行間や字間で印刷されているものを読めるが、webの場合はパソコンの設定でそれらがまったく違っていたりする。そのため、読みやすくするためにwebの原稿の打ち方があるとそのとき教えられたものだ。
現在ではそれらを意識して原稿を書いてはいるものの、いまだに「○○は××でないと読みづらい」と指摘を受けたりする。4年経ってもまだまだ慣れてないなあ、と思うこともしばしばである。
そんなときに出会ったのが本書である。最大手のポータルサイト『yahoo!』在職中に、利用者のいろいろな疑問を投稿してもらい、その回答も利用者が行なうという『yahoo!知恵袋』を企画立案し、その際に「webでのお知らせ」をいかにわかりやすく伝えるかに腐心した著者による、タイトル通りの「webでの文章の書き方」を教えてくれるのがその内容。
私が最初につまづいた全角半角の使い方による読みやすさの解説や、“見出し”に大きな鍵がある「読んでもらうための方法」、そして「伝“え”るではなく伝“わ”る」を大きなテーマに、著者自身が見たり書いたりしたweb上の文章を使って、人に読ませるwebの文章術を教えてくれる。
ここで大いに参考になるのは、「伝わる」とあってもweb上の文章というのは「読ませる」というより「見せる」のが重要であるということで、先も書いたように著者が触れたweb上の文章を例に、見出しや箇条書きにして"web用文書"として仕上げていく様子、そして読みやすく(見やすく)なっていく様子には思わず首肯してしまう次第。冒頭から同じ展開で読みやすさ(見やすさ)を追求していってくれるので、段々とわかってくる、理解が深まってくるのが自分でも感じることができるのが嬉しい。読み終わった後にはすぐに実践してみたくなるしね(笑)。
また、現在では捨てておけないTwitterやFacebookの情報の伝播の仕方や“炎上”に至る構図までも解説されているのもおもしろい。
私自身、現在は書くだけでなくwebのページをまがりなりにも作っているので、著者と本書の発想はとても勉強になり、また、webに関わっていなかったとしても「伝わる」文章術として大いに役に立ったことは間違いない。
「短文で書きましょう」、はいおっしゃるとおりです(笑)。