勝手に読書録

おねえちゃんって、もうたいへん!

作者名:いとう みく
絵:つじむら あゆこ
ジャンル:児童図書
出版:岩崎書房

おねえちゃんって、もうたいへん!


1行目からドキッ!
何気ない主人公の最初の発言なんだが、誰でもえぐられる。

いとうみく3作目読了!
著者の子供に注がれる視線。歯に衣着せぬ真っ直ぐさだ。
「親があっても子は育つ! 下手な親ならない方がましだが、それでも子は育つ」という見解もある。
しかしながら、万止むを得ずと背合わせの大人の勝手な特殊? 事情がもたらすところの、たいていの状況を、子供はいやいやでも受け入れ、案外、逞しく順応していく。
「順応したいという意思からではなく命綱である『親』に添わなければ命永らえること叶わないと、本能が導くのだ」という分析もある。

恐らく著者はそんなややこしい理屈は知り尽くした上で、何食わぬ顔で深刻な状況を子供にサラリと言わせてのける。言わば無流血の開腹開胸オペ。見事な術技。

「いやいや、たった70ページ、しかも20ポイントはあろうかというデカ文字の児童図書を捉えて、そこまで御託を並べるのは如何なものか?」という異論反論に応えて言うなら、まずは「シンプルに見えるものには、実のところ中はこう複雑怪奇なのよと分析を試み、見かけ複雑なものは、早い話がこういうことに過ぎないのよ、と解体してみせる」という暴挙に走るのは、職業柄という蓑を着た性癖のようなもので、どうか平にご容赦願いたい。
とは一旦下手に出ながら、その実「だってシンプルのまんま済ませたんじゃあ、面白くないでしょ」という魂胆がありありなのは、必ず読者にはお見通し、とは重々知りつつ止められない、止まらない!
病膏肓ですな!

大人も読むべしシリーズにランクイン必定の一冊!












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