勝手に読書録
カレイドスコープの箱庭
作者名:海堂 尊
ジャンル:ミステリ
出版:宝島社
カレイドスコープの箱庭
悪気がないとも言い難い、ちっぽけではあるが立派な不正。おバカでエゴな悪ふざけ……言いたてれば、すなわち「なんだかな〜」な事件の顛末。
早いうちから、事のなんたるかが読み解けてしまったりはするのだが、歯ごたえなくて「がっかり」感よりも、どこか「ほッ!」な安堵感があるのは何故か?
思うに、全速で海堂作品を読み駈け抜けてきた海堂エンスジアジストにとってみれば、ちょうどこの辺りで、トレッドをウォーキングスピードに切り替えて小休止、リラックスタイムがあっても、あるいはいいかもしれない。もちろん名物!のグッチvs白鳥の丁々発止が存分楽しめるのも確約のことだ。
特筆すべきは巻末のスペシャル&ゴージャスな「おまけ」の山。そんじょそこいらの索引とはわけが違う充実ぶり!
まずは「バチスタ」をコアとする海堂作品のある種、すべてに渡ってカテゴライズされ、それらの関係性が一目瞭然に絵解きされた相関図。思わず読んだ作品を引っ張り出してきて「これ、ある!」「あれ、これどこいったっけか?」とチェックしたくなったりする。次に作品の舞台となった「時」を「過去」「現在」「未来」に振り分け、通貫するメインキャストのプロファイリングリストと各々の相関関係図。
続きましては、すべての登場人物の一覧表は、各々の所属部署、登場作品、その中でのセリフの有無まで表記がいきわたっている。
プラスするところの「桜宮市年表」、それに作品中の用語解説、医療用語解説と、ここまで徹底した作品群案内を見せつけられれば、自ずと偉大な企み、海堂プランが見えてくるというもの。ここに来ての「完全復習」の「ご案内」の意図は?
これはもう間違いない! つまりは次のステージへの大いなる誘いなのだ。にしても、なんと気の利いた招待状であることか!
「いよいよもって全力疾走するよ」と通告し、「だから馬力入れて追走してよ」とささやきかける。喜んで、そのメッセージ甘受しましょう!!!
にしても…… 作品相関図の「未」刊と記されたのの中に「輝天炎上」の次に入るべき作品名が見当たらない。
ってことは!?
海堂様、さらにさらに連投意欲満々だわ!
Aiセンターはどこに建てられるのかな〜!?
誠にもって、先が楽しみ〜。
折しもバチスタシリーズ「螺鈿迷宮」TVドラマは2014年1月7日からスタートし、映画「ケルベロスの肖像」は3月29日にロードショウ公開予定!
いいよいいよ、その広告宣伝戦略、まんまと網にかかってやりましょね〜!!!