勝手に読書録
それいけ避難小屋
作者名:橋尾歌子
ジャンル:山小屋イラスト図解集
出版:山と渓谷社
それいけ避難小屋
雑誌『山と溪谷』に2014年4月号から連載された記事「それいけ避難小屋」が好評につきを単行本化されたもの。
そこそこな登山経験者におすすめ。
のぞいたり泊まったことがある小屋からページをめくれば懐かしさにふんわり包まれる。
著者が実際に歩いて取材した、東北から四国まで51軒の避難小屋一軒一軒の特徴や故事来歴などわかりやすい文は「へー!」な知らないことだらけで興味深い。だいたい避難小屋についての故事来歴に目を向けた人がどれくらいいるだろうか?
次回通りすがった時、己の見る目が変わっていることは確実だ!
現地で実際に著者が遭遇した人や出来事についての記載もほほえましく、心温まる。何よりも著者の人柄が垣間見えて親しみを覚えて嬉しい。
そしてそして「山経験ほとんどなし」な向きにこそおすすめ!
本を抱えて行ってみたくなる。
図解がそんじょそこらの図解と違う。手書きの温かみあるイラストは居合わせた人たちの人いきれや山めし作りの湯気の湿り気や隙間から漏れくる風の気配や雪の匂いまでも紙面から伝えてよこすようだ。情緒的手法のイラストの割に実はかなりきっちり間取りや設備品などを捉え仔細に描きこまれているからかもしれない。
一冊抱えて掲載の避難小屋を追っかけ登山してみることをマジで提案。「ここに行くためにはこんなあんな装備が必要」とか、そのためには「かくかくの練習が必要」とか、ふと気が付けば「山やる人」として、いつの間にか成長していることに気づき、半分踏破したころには立派な山人に成り上がっていることは間違いない。
もちろんみっちりな山経験者ならなおさら「ふむふむ」感は10倍以上で倍増!もしかしたら「これオレじゃん」な向きも多数かと。けっこう似てます!