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VIVA ASOBIST
vol.13:川崎淳与
暮らし方ってとてもたいせつ
【プロフィール】
ラッピングアドバイサーとして活躍後、ギャラリーで企画・プロデュースを12年間手掛ける。
1998年独立し南青山で「ギャルリーワッツ」をオープン。
以来数々の個性的なアーティストの企画展示を行っている。
著書に『おしゃれにラッピングブック』(大泉出版)などがある。
HP:Galerie WA2
(ギャルリーワッツ)
東京都港区南青山5-4-44 ラポール南青山103号
03-3499-2662(TEL/FAX)
2月20日、おもちゃ展を開催しているギャルリーワッツに、川崎淳与さんを訪ねた。
川崎さんはギャルリーワッツの主である。おもちゃ展は2年をかけて企画・人選し、開催にこぎつけたという。
この日、原宿から表参道を歩き、ギャルリーワッツに向かった。いつもの原宿とは様子が違い、表参道は高齢者で溢れていた。原因は表参道ヒルズ。雨にもマケズ、高齢者パワーのすごさに圧倒される。
青山通りを横断してまっすぐ50mほど歩くと、プラダのビル。なんて面白い建物!と思わず写真を撮る。このビルの角を右に曲がり、150mくらい歩くとギャルリーワッツのあるラポール南青山に着く。
川崎さんにお会いするのは2度目。最初にお会いしたときに、絶対VIVA ASOBISTに登場していただきたいと思っていた。実に魅力的な女性なのだ。ギャルリーワッツで催される企画はすべて川崎さんの企画で進められる。
「プロデュースするのが好きなのね。ここに来てくださった方たちとお話していて、この方ならできると勘がはたらくの。この『おもちゃ展』も20人の人が参加しています。企画すると、参加してくださる方と一緒にアイデアを練ったり、アドバイスをしたり。それがとても楽しいのね。20年前には作家にアドバイスなんてできなかった。でも、今は却って喜んでくださるの」
川崎さんは絶対に学歴などを聞いたことがないのだという。作品がよければそれでいい、学歴など邪魔なだけと明快だ。結果として、作家の友人などが訪れて話をしているうちに、出身校を知ることはあっても作品の評価に学歴を持ち込むことはない。
川崎さんの経歴はユニークだ。元祖カリスマ主婦といっても過言ではない。「下の子が高校を出るまでは家で迎えてあげたかった」と専業主婦に徹していた。それでも、自立した生き方をしたいと悩んでもいたという。知り合いや友人たちにプレゼントをするとき、心をこめてアイデアを練りラッピングをしていた。それが西武デパートからアドバイサーとして入って欲しいと頼まれることになったという。一度はきれいに包むなんてできないと断ったが、きれいに包むのは店員がするからとくどかれアドバイスをすることになった。
そのうちあまりにも忙しくて、ただきれいに包むのが主流になり、それではつまらないからと辞めたそうだ。その後、『おしゃれにラッピングブックー楽しい工夫でまごころを素敵に伝える 贈り上手のギフトアイデア』(大泉出版)という本を出す。
20年前からギャラリーでプロデューサーとして活躍、1998年独立しギャルリーワッツをオープンする。今までに数々の才能を発掘し育てているが、まったくジャンルにはこだわりがないようだ。今回のおもちゃ展に出品された人も、この作品は陶芸家、これは盲目の方の作品などと多岐に渡る。
「企画のアイデアは、毎日の暮らしの中から出てきます。暮らし方ってとても大事だと思うの。疲れて帰ってただ寝るだけって生活はしたくない。気に入ったアートを身近に置くのって癒されるし、お茶碗だってアートだと思う。本当に好きな物を持つと、何年も気持ちが豊かになるでしょ。わたしはいわゆる美術品というものには興味がないですね。鉄くずとか鉄のかけらのような物が好き」
はっきりと好き嫌いが言える。これは素晴らしいことだ。
「みんなが寝静まると、お酒を飲みながら音楽を聴いて、1日の最後をひとりで過ごすの。気持ちのザワザワを全部洗い流してね。それが深夜になってもかまわない。明日があるからって早寝なんてしません。明日は明日よって思っているから」
ちなみに好きなお酒はビールかワイン。ちびちび飲むのは苦手とか。
好きな音楽はオペラ。特に歌曲が好きらしい。
「人間の声って素晴らしい。声が心にしみ入るのね」
ひとしきり三大テノールの話に華が咲く。人間の声もあれだけの声量と歌唱力がともなうと、まさにアート。いろいろ勉強になりました。
最後にひとつ、ギャルリーワッツのワッツはWHAT'Sではなく輪2。いや、WHAT'Sであり輪2。面白い。座布団1枚!
川崎淳与さんは見た目も中身も絵になる人。そして根っからのアートプロデューサー兼ASOBISTでした。
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読み物 : VIVA ASOBIST 記:ひたに まりこ 2006 / 02 / 01