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VIVA ASOBIST
Vol.94 源祥子&葉月けめこ
−−自ら未来を拓いた二人のPOWER WOMEN(オバちゃん)
大阪でコピーライターとして活躍後、小説へと表現の場を広げたのち、退路を絶って上京、
【プロフィール】
源祥子(写真上)
大阪出身。現在は都内在住のフリーライター。2000年にコピーライターとして独立後、美容や食品などのコピーを数多く制作する。「シナリオ・センター」で脚本を学び、現在はラジオドラマの脚本や短編小説を執筆。2015年5月に著書『大阪のオバちゃんの逆襲』を上梓。
葉月けめこ(写真下)
福岡県出身。放送作家・作詞家。テレビ・ラジオ番組の構成ほか、インディーズ・アイドルユニット、ロックバンド、ミュージカルなどへの歌詞提供。また、雑誌の連載記事も執筆中。ラジオのパーソナリティ経験も。2015年4月に著書『いきなり作詞ができてしまう本! 80年代ヒット曲がお手本』を上梓。
現在、脚本家、小説家として幅広く活躍する源祥子。
一方、福岡から上京後、子持ちの専業主婦ながら作詞家を目指し一念発起、
周囲の驚きを尻目にその夢を叶え、ラジオのパーソナリティーまでつとめた葉月けめこ。
同じシナリオ・センターで学び、今も活躍の場を広げつつあるお二人の、
抱腹絶倒対談で、猛暑に疲れた心と身体を癒そう。
大阪のオバちゃんのパンチパーマ率は低い!?
−− 源さんと葉月さんは今年、言視舎からそれぞれ本を出されたということで、まずはご著書の簡単なご紹介をしていただけますか?
源祥子(以下、源)●私の本は『大阪のオバちゃんの逆襲』という本です。中身は、これもうタイトルそのまんまなんですけど(笑)、大阪のオバちゃん、つまり私のことですが。大阪を離れて初めて東京に住んでみたら、想像以上に“大阪のオバちゃん”への偏見が大きいことにびっくりしてしまって。「これではあかん。大阪のオバちゃんの本当の姿を届けたい!」という思いから書いた1冊です。私が大阪にいる友人宛に手紙を送り、友達がそれにメールで返事をくれるという形式になっています。
葉月けめこ(以下、葉月)●私のほうは『いきなり作詞ができてしまう本! 80年代ヒット曲がお手本』というタイトルです。私自身が作詞をしていることもあって、一瞬、「教則本?」と思れるかもしれませんが、「教える」という感じではなく、「一緒に楽しみましょう」という内容になっています。「これを読むと書きたくなる、書ける」がコンセプトのメインです。
−− 源さんが感じた偏見というのは、「大阪のオバちゃんは、みんなアメちゃんを持ってる」みたいなことですか?
源●アメちゃんを持ってるのはホンマなんで、それはOKなんです。ただ、私が大阪の人間ってわかると、「大阪のオバちゃんて、こうなの?」ってしょっちゅういろんな質問されるんで「いったい東京の人らは、大阪のオバちゃんに対してどんなこと思ってるんやろ?」って気になったんですね。それでネットで調べてみたら、もう出るわ出るわ!「大阪のオバちゃんはみんなパンチパーマである」とか、めちゃくちゃなこと言いたい放題。
葉月●えっ、大阪のオバちゃんはみんなパンチパーマじゃないの?
源●おったわ、ここにも(笑)。いや、パンチパーマのオバちゃん、ゼロとは言わんよ。言わんけど、観光客が大阪にそれ目当てできたところで、見つけられずにがっかりするぐらいのレベルやで。ほんま、たまーに発見するぐらい。
−− 葉月さんも地方出身と聞いてますが。
葉月●私は福岡です。福岡が大好きで、一生福岡から出ないと決めてました。なのに結婚した相手、つまり旦那さんがたまたま東京に転勤になりまして。子どももまだ小さかったので、ついて行かないわけにはいかず……。
源●わかるわぁ。だって私ら地元大好きやもんな。できれば離れたくない。
葉月●ねー。子供の頃、「木綿のハンカチーフ」を聞いてからずっと、東京に行くような男とは絶対に付きあったらダメ、不幸になる!(笑)と思い込んでたし。だから、東京に来た当初は、「思えば遠くへ来たもんだ」が頭の中をグルグル回って、福岡を離れたことが悔しくて悲しくて仕方なかったんですよ。
−− 葉月さんも、東京にきて、福岡人への偏見みたいなことを感じた経験はありますか?
葉月●あまりないですね。福岡人は、東京に対して対抗意識もないですし。もちろん大阪にも対抗してませんよ。東京に住んでるのに大阪弁を貫き通す大阪人と違って、柔軟性がありますから(笑)。
源●あれ? なんか軽く今ディスられてる、大阪人?(笑)そんなん言うけど、これでも私、今喋ってんのは東京仕様の大阪弁やねんで。
葉月●あら、びっくり!(笑)
源●当たり前やん、マナーやんマナー。だってやっぱり東京の人らの中には、大阪弁が嫌いな人もいてるやろ? この街はいろんな人らの集合体やから、一応私なりに気を遣って、めっちゃ抑えた大阪弁で喋ってるんやよ。
葉月●どこをどう聞いてもコテコテの大阪弁だよ? っていうか、大阪弁はもはや全国区になってるよね。方言とは思えないぐらい侵略してきてるもん。東京の人にとってはある意味、脅威なのかも。ゴジラが襲ってくる的な。
源●ははーん、それでか。
葉月●何が?
源●東京の人って大阪弁嫌いなんやろな、って思うことがチョイチョイあるねん。例えばお店でオーダーしても、絶対聞こえてるはずやのに、露骨に「え?」って感じで聞き返してくるとか。
葉月●それって単純に声がデカいからじゃない? オサレなカフェのテラス席には座っちゃダメな音量(笑)。
源●えーーー声大きくても嫌われるん!? まぁたしかに大阪人は総じて声が大きいんは認めるけれども。いや、ほんでテラス席、私、普通に座るから。ちゅうか、大阪人にも座らせてよテラス席、お願い!
葉月●人々の平穏な暮らしのためにも、うかつには許されへんな(笑)。ただ、大阪人は大阪出身ってことに誇りを持ってる気はするね。それは福岡人も同じかな。最近は「方言女子」なんて言われて、方言をかわいいと思ってくれる人も増えたけど、まだまだ訛りに関して厳しい人って多い気はする。でもそれって、生粋の東京人じゃなくて、一生懸命方言を抑えて生きてきた地方出身者に見られる傾向かもね。
源●方言がカッコ悪いって思ってるんかな?
葉月●もはやそんな時代ではないよね!
東京のイメージは「冷たい」「人情がない」。でも…
−− 地元 LOVEのお二人にとって、東京ってあまりいい印象ではないようですね。
葉月●私の場合は、小さな頃から東京に持ち続けてきたイメージがよくない。「冷たい人が多い」とか「挫折」とか「悪い人に騙される」とか(笑)。テレビの影響も大きいですよね。昔は今みたいに格安航空券もなかったし、東京はとにかく遠かったですから。
源●大阪の場合はですね、小さい頃から東京はライバルっていう意識を植えつけられてますから。ほんで、もう異常なぐらいに東京弁を気持ち悪がる。それから……「冷たい人が多い」とか「人情ない街」とかも大阪人が東京に対して持ってるイメージやと思います。
葉月●あと、洗練されすぎた街はやっぱり落ち着かないよね(笑)。コンプレックスももちろんあるんだろうけど、オシャンティーな街はもちろん、看板も何もない、何屋かもわからない小洒落たお店には、なんだか拒絶されているような気がしてしょうがない。
源●うんうん。青山の裏通りとかな。シュッとしてる人らがたくさんいるような場所。
葉月●芸能人によく会えるという噂の「なかめ(中目黒)」とかね。あと、行ったことないし、よくわかんないけど、その略どうなの?って意味での「むさこ(武蔵小杉)」とか(笑)。
源●これぞ東京的オシャレです、の見本のような「蔦屋家電」のある「にこたま(二子玉川)」もそうちゃう? オシャレピープル以外受けつけません、って空気が漂ってる。絶対普段着では立ち寄られへん。あ、そういえば、こないだ品川に行ったんやけど、駅前に歩道橋あるやん。あれ「スカイウエイ」っていうん知ってた?
葉月●なんでもかんでも横文字にしたがる、都会の悪いクセ!(笑)
源●ほんまに。私、念のためにスカイウェイって検索したっちゅうねん。ほんでそのスカイウエイの両側が、ちょっと昔のハリウッド映画に登場してた未来都市みたいな建物ばっかりで。さすがにあれは「わぁすごいやん」と思った。
葉月●品川も、高層ビル群のあたりはシュッとしてる感じだよね。西新宿とかもそう。「ドライな東京人」の象徴っぽい。逆に浅草あたりは、地方人が馴染みやすいイメージがあるよね。
源●そうそう、人情がある街ってイメージ。あんな、浅草とか上野のあのあたりってちょっと大阪に似てるとこあるんやで。
葉月●え、福岡にも似てるよ。
源●わ、まさかの取り合い(笑)
葉月●浅草といえば祭りでしょ!福岡は祭りの街だよ、ここは譲れないね(笑)。まぁでも、福岡と大阪も似たところがあるのかもね。ラテン系というか、陽気な目立ちたがり屋が多いもん。
日本三大都市は「東京、大阪、名古屋」?
−− 東京という空間も、東京に住む人も、一口では語れないということですね。葉月さん、先ほど福岡は、東京にも大阪にも対抗意識がないということでしたが、他の都市にはあるんですか?
葉月●意識したことなかったんですけど、こないだ知り合いから「名古屋と福岡はライバルなんでしょ?」と言われて驚きました。いや、ライバルじゃないし、ライバル扱いされること自体納得がいかない(笑)。
源●え!? 私も福岡は名古屋に張り合ってるんやとばっかり。
葉月●いたわ、ここにも!(笑)実はこれ最近知ったんですけど、日本三大都市って東京、大阪、名古屋なんですよね。私はずっと東京、大阪、福岡って信じてたんですよ。少なくとも私の友達はほぼ全員、そう信じてたと思います(笑)。
源●いやいやいや、それはおかしい! だってたしか小学校で三大都市習ったやん、東京・大阪・名古屋って。
葉月●知らない。見えない。聞こえない。
源●あ、そうや、ほら女性ファッション誌でたびたび特集されるおしゃれスナップってあるやん? あれも東京、大阪、名古屋はページ数大きく割かれてるけど、福岡や札幌は小さい記事やし。こんど気をつけて見てみい。
葉月●くっそー! 闘ってもないのに、いきなり負けたみたいやん!
源●ちゃうちゃう、いきなりとちゃうで。昔からずーっと負けてるねんって。
葉月●闘ってないもん。少なくとも私は闘った記憶がない!
源●はいはい。それにしても名古屋って不思議な都市やんなぁ。ずーっと景気もいいらしいし。貯蓄高も名古屋とか、あと富山とかもすごいってよく聞くやん? その貯金の目的も、名古屋と富山じゃ違うっていうんもおもしろいと思うねん。名古屋は娘の嫁入りのためで、富山は家建てるためなんやて。富山ではお金貯まったらバーンと家を建てて、普通、家にはないような仏像とか彫刻とか内装にも惜しみなくお金使うらしいわ。
葉月●それぞれ大切にしてるものが違うのかあ。大阪は何? ビリケン? あ、食べ物か。
源●あ、各家庭に一台たこやき器あるから?
葉月●それも、東京人からの「あるある質問」?
源●うん、めっちゃ訊かれる定番の質問のひとつ。でもさすがに純金のたこ焼き器は買わへんで。ドンキで2000円ぐらいのを買います。
葉月●純金のたこ焼き器は名古屋人が持ってるイメージですう(笑)。
源●うわ、まだ言うてるわ(笑)。
葉月●で、大阪人は何を大事にしてるの?
源●なんやろ……。食べるもん以外やったら、洋服とかバッグとかかな。ブランドもんは好きやと思う。それもロゴがおっきく入ってる、わかりやすいやつ。
葉月●一目で、「トラ!」とか「ヒョウ!」ってわかる、みたいな。逆に東京は「サラッとオシャンティー」みたいな、わかりにくいほうが好きだよね。
源●「それシャネルなの? 見えへんわー」みたいなんが、いいんやろ。大阪人はそれ言われても、全然嬉しくないわ。ブランドもんは、パッと見て「これ、シャネルです」っていうのが好き。
葉月●ファッションは、名古屋も同じ傾向かもね。さりげなさを好むという点では、福岡は東京に近いかも。
源●ファッション的には色めとかも含めて、大阪と名古屋は絶対似てると思う。あ、でも最近の梅田あたりは、めっちゃ東京っぽいで。街並みとかお店とか、歩いてる人のファッションとか。
葉月●ええー! 大阪は、居酒屋の前にいきなり魚持ったオッさんが立ってたり、カニが踊ってたり、そういうテーマパーク的なとこがいいのに。東京っぽくなったらダメじゃん。
源●うん、私もそれはちょっと問題やなと思ってるねん。
女が欲張りなのは全国共通
−− お二人のお話を伺っていると、面白くて、もう1冊、本ができそうですね。ところで、お二人はシナリオ・スクールで知り合われたとお聞きしていますが……。
源●「シナリオ・センター」といって、映画『武士の家計簿』のシナリオを担当された柏田道夫先生などが講師をされているスクールです。
葉月●柏田先生が受け持っておられる作家集団というクラスで会いました。源さんのほうが少し先輩だよね。
源●私は上京する前すでにシナリオ・センターの大阪校に通っていました。それで約3年前に上京して、東京校に編入したんです。
葉月●私は、4年前にミュージカルの作詞をさせていただいて、舞台っておもしろいなあと開眼して。脚本が書けたらもっと深くいろいろなことに関われるんじゃないかと。源さんはなんで脚本を?
源●まぁ小学校の頃から文芸部入って、ポエム的なもの書いてたしね。
葉月●大阪弁のポエム?
源●いや、ポエムはなぜかバリバリの東京弁やったわ(笑)。めっちゃ乙女ちっくなやつ書いてた。その頃から大人になったら小説家になりたいとか、不敵なことを考えてたし。それで、大人になって、まずコピーライターを目指してん。それはなんとか実現できて、それなりにいろんなところで書かせてもらっててんけど、数年やってるうちに欲が出てきて……。
葉月●女が欲張りなのは、全国共通だね。
源●そうそう、それは共通(笑)。それで大阪のシナリオスクールに通い始めてん。そこでラジオドラマのコンペに通ったり賞をもらったり、ケータイ小説を書かせてもらえるようになって。そのうちに、また欲が出て……。「これ、東京行ったらもっと仕事もらえるんちゃう?」って思って突然上京してしまった。簡単に言うと、まぁ調子に乗ったわけやね。
葉月●ビバ!調子乗り人生!!
−− 大阪やクライアントを捨てて、嫌いな東京に来ることに葛藤はなかったですか?
源●もちろんありましたよ。正直、東京のイキった人らに、コテコテの大阪人である私が受け入れられるわけないとか。友達が一人もできへんかったらどうすんの、とか。でも「退路を絶って、調子に乗る」って生き方がわりと好きなんです。それに、大阪を捨てたって気持ちはなくて、あくまで「ほんならちょっと行ってきますわ」という感じです。
葉月●ちょっとお隣に醤油借りに行ってきますわ、的だね。
源●まさにそんな感じ! ただ、調子乗って上京したものの、東京ではトントンとうまいこといったわけじゃなく、けっこう大変でした。求人誌とか調べまくって「ライター募集」ってあったら、売り込みに行ったり。芸能サイトに「コラム書かせてください」ってアプローチメール出したり。でも、仕事の面では、大阪より東京のほうがいいなと思う点があって。やっぱりクライアントの数が圧倒的に多いですし、年齢にも寛容やと思います。大阪は「年いったらアカン」みたいなところがけっこうあるんで。
葉月●むむう、エイジハラスメントやな!まあ、なんにしろ若いほうがいいって気持ちはわかるけど(笑)。
表現手段に書くことを選んだ二人の共通点はポエム
源●ところで、けめこさんはどんな経緯で作詞家になったん?
葉月●私は自分の意思で上京したわけじゃないけど、いつまでも福岡を想ってネガティブになっててもしょうがない。とりあえず東京でしかできないことをやろうと思ったのね。で、一番最初に考えたのが『笑っていいとも!』の観覧いうちっちゃい野望。毎月往復ハガキを送り続けたのに、一回も当たらず……。
源●ちっちゃ! ほんで外れてるし(笑)
葉月●くじ運、悪いのよ。これはもう無理だとあきらめて、次に考えたのが、「よし!作詞家になろう!」。無謀というか、バカだよねぇ?(笑)替え歌得意だったし、小説みたいに長くないから取っつきやすいんじゃ?と。
源●でも作詞始めたとき、周りから「趣味?」とか言われへんかった?
葉月●「趣味があっていいね」とか言われつづける始末だったよ。
源●私もシナリオの勉強始めたとき、まわりから同じこと言われたわ。言われるたびに「趣味ってどういう意味? 真面目にお金取るためにやってんねん」って思ってた。
−− 先ほど、小説は長いけど、作詞は短くて済むというお話がありましたが、葉月さんには源さんのようにコピーライターやライターというのは選択になかったんですか?
葉月●なにしろ福岡、しかも北九州育ちですから、コピーライターとかライターって身近にいなかったんです。だから想像すらできなかった。その点、音楽は日本全国みんなの隣に寄り添ってますし、作詞家とか作曲家という人がいるってことは田舎の子どもでも知ってるわけで。
源●インターネットも普及してないし、情報量も少なかったもんねぇ。
葉月●そうそう。源さんと同じように私も中学生のときポエムを書いてて。
源●出たっ! 私らまさかのポエムコンビやな。
葉月●私たち、こう見えて乙女なのよね〜。それはさておき(笑)。ポエムが作詞に進化し、中学時代にある雑誌の公募でたまたま賞をいただいたりしたこともあって、大人になってからも作詞はわりと身近に感じてたんです。そもそも作詞は、「歌にする」ことが前提なわけですから。この詞が歌になったらどんな感じだろう?と、想像するだけで夢がある。
源●わかる! 自分が作詞した歌って、やっぱり聴いてみたいもん。
葉月●自分がそうだったからこそ思うんですけど、作詞ならできるんじゃないかな?と考える人って多いような気がするんです。ただ、どうやればいいの?ってところで立ち止まっちゃうというか。ご縁があってインディーズ・アイドルさんとお仕事をご一緒させていただくことが多い時期があったんですけど、ある子が「作詞をしてみたいけど、難しいですよね」と話しかけてくれて、そんなことない、ぜったいできるよって言ったことがあって。
源●できるかできないかで言えば、できるはず!
葉月●そうそう。阿久悠さんや松本隆さんになれるか?と問われたら、それは普通無理ですよってことになっちゃいますが、作詞できるかどうかであれば、できますよと。これが、小説だと、直木賞とか賞を取る作品とそうでない作品って、明白な違いがありますよね。でも、作詞の場合は、「だんご三兄弟」のように、もしかしたら子どもでも書けるかも?という作品が大ヒットすることもあります。実際は練りに練られた歌詞だと思いますが、聴いた印象としてはものすごくわかりやすく作られていますから。
−− 最近は「女々しくて」などもそうですね。
葉月●あの歌はサビの「女々しくて」がかなり良かったし、時代にもマッチしていた。もちろん2作品それぞれに良い作品ですが、本当に何が当たるかわからない世界なので、そのぶん誰にでもチャンスがあるとも言えます。
−− 葉月さんが作詞家を目指したのは、ミュージシャンを数多く輩出している福岡という土地柄もあるのでしょうか?
葉月●いや、それはたぶん関係ないと(笑)。ただ、福岡って無謀な気質は少なからず流れているとは思いますね。また幸いなことに私の場合、既婚だし生活のために仕事をしなきゃならない状況ではなかったので、バカじゃない?と笑われながらも挑戦をつづけられたような気もします。主婦じゃなかったら、今の私はないかもしれません。
−− 逆に言えば、環境さえ整えば、専業主婦もはばたけるということですよね。同様に、源さんのように、ある程度の年齢になっても、東京で頑張れるというのは、女性にとってとても心強い気がします。
愛情と夢の欠片が詰まったそれぞれの著書
−− 最後に、それぞれのご著書のアピールをお願いします。
葉月●本を読みながらワークシートに書き込んでいくだけで、歌詞になりうるフレーズが生まれる仕組みになっています。本を読んでくれたシナリオ仲間が「シナリオも同じだね」って言ってくれたり、ブロガーさんがブログを書くときに役立つと喜んでくださったり、作詞だけでなく様々な形での表現に通じることが多い内容になっていると思います。SNS関連などにおいても自分の言いたいことをより楽しく、あるいは正確に伝えるためのヒントになるかもしれません。あ、それから、80年代のヒット曲に対する私のかなりマニアックな愛情も感じていただけたら幸いです。
源●「大阪のオバちゃん」という愛すべき存在。そのリアルな実態を、私の目線で綴っています。大阪の食べ物やお店、見るべき場所についても書いているので、「大阪に旅行に行こうかな」と考えている方がいらっしゃいましたら、ガイドブック代わりにぜひ! この本を読んでひとりでも多くの人が「人生なんでもネタになる。なるべく楽しいことを探して生きていこう」、そんなふうに感じてくれたらいいなぁと思っています。
−− 本日は、編集するのがもったいないくらい、お二人の爆笑マシンガントーク炸裂で、大変楽しかったです。ぜひ、今度はお二人の対談本でご登場ください。長時間、ありがとうございました。
大阪のオバちゃんの逆襲
源 祥子(著)
価格 ¥1,512(本体¥1,400)
言視舎
サイズ B6判
ページ数 220ページ
いきなり作詞ができてしまう本!
80年代ヒット曲がお手本
葉月 けめこ(著)
価格 ¥1,512(本体¥1,400)
言視舎
サイズ A5判
ページ数 138ページ
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読み物 : VIVA ASOBIST 記:村山 加津枝 2015 / 08 / 21