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秘顔

【映画レビュー】秘顔-ひがん-

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指揮者の男、失踪した婚約者、代わりに現れたチェリスト、3人が隠している真実とは……?! 韓国映画初登場No.1、R指定作品として5年ぶりに観客動員数100万人を突破の大ビットを果たした本作。R18+のサスペンス・スリラーが、ついに禁断のベールを脱いで日本解禁!!

将来を有望視されている指揮者、ソンジン(ソン・スンホン)。ビデオレターを残して失踪した婚約者スヨン(チョ・ヨジョン)は彼のオーケストラのチェリストでもあったが、その代役としてスヨンの後輩のミジュ(パク・ジヒョン)を面接することになる……。

いやいやいや、ここまで過剰な描写、必要あります? それ単に監督の趣味なんじゃね? と思ったのも束の間。なるほど、そう来たか。そうなるなら確かに、あれらのシーンのああした描写は必要不可欠。まさかあれらの描写に意味があるとは。のちのちにキッチリ伏線回収されるとは。

冒頭のつかみはいわゆるよくある殺人絡みのあの手の作品か? と思いきや、婚約者の母親と指揮者との関係性などが不穏な空気を醸し出し、ストーリーは思ってもみなかった方向へと転がり出す。この流れは今どきというか、ひと昔前なら受け入れられる層も少なかったとも言える、とある層への配慮とも言えようか。今も昔もマイノリティであるその層が、社会的に認知されてきたからこそ作りえた作品だし、だからこそ確実なヒットをものにできてもいるのだろう。そういった意味でも、本作は最先端であり現代的でもあり、そして洗練されてもいる。展開が見えないジェットコースターのような作品は数あれど、本作ほど先が読めない作品もまたないのではないか。特に私なんかはそのとある層に属していないからこそ、尚のこと、読めない。全くの想像外のことが次から次へと起こり続ける様は圧巻だ。
特に、事件解決への糸口が見えたにも関わらず、とある可能性を思いついたソンジンが取る身も蓋もない言動。いやいや、そう来ましたか。人道的な振る舞いをしていた彼が、いとも簡単にあんな思考に陥るだなんて。人間とは、かくも罪深い生き物だ。

秘顔

監督・脚本:キム・デウ(『情愛中毒』)
出演:ソン・スンホン(『エデンの東』)、チョ・ヨジョン(『パラサイト 半地下の家族』)、パク・ジヒョン(『財閥 x 刑事』)
配給:シンカ/ショウゲート
公開:6月20日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開
公式サイトsynca.jp/higan

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記:林田久美子  2025 / 04 / 10