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勝手に植物図鑑

Dolomiti2016-5

勝手に植物図鑑

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そら、あほやわ!

そうそう見たことあるよね。何か小屋周りとかで見つけたりするよね。唐松小屋のそばとか、燕山荘の脇とかね~
てっきり「ミヤマクワガタ」だと思ってしまう。
が、どうもチョイ違うらしい。

すっかり私にとって「ヨーロッパ草花調べ4大の神器」になった感の「高山植物ポケットガイド スイスアルプス」と「Fleurs des montagnes」、「500fleura des Alpes par la couleur」「Gros plan sur les fleurs des montagnes」によればゴマノハグサ科クワガタソウ属の「ベロニカ・カマエドリス」、学名を「SCROPHULSRIACEAE Veronica chamaedrys」というのが該当するようだ。

日本に生息するクワガタソウの類は数種あって、山渓ハンディ「高山に咲く花」を参照すると「ミヤマクワガタ(本州中部地方以北に分布)」と「バンダイクワガタ(本州・東北地方に分布)」、「エゾミヤマクワガタ(北海道:天塩山地、夕張山地、日高山地、定山渓に分布)」などがあげられるが、いずれもゴマノハグサ科ルリトラノオ属で、しかもどれもが日本固有種だ。

ちなみに日本でゴマノハグサ科クワガタソウ属といえばSCROPHULSRIACEAE Veronica persicaすなわちオオイヌフグリやイヌフグリ、フラサバソウといったところ。そういえば似ているわな。

2016年8月4日、6日とイタリア、ドロミテ山塊の岩場5Torriでクライミングを楽しんだが、周辺は見事にお花畑で、可愛い花をたくさん見かけて、大喜びで撮ったはいいが、同定に殊の外時間がかかる。これまでにヨーロッパで入手したハンディー図鑑が9冊、日本の図鑑がまあ、3冊、それらをさんざん、ひっくり返し、矯めつ眇めつしてなんとか納得できる答えに行きつく。

しかし「だから何?」といえば身もふたもなく、こじらせていた持病が、ようやく落ち着いた感、すっきり感と可愛い花に顔向けができるというような独りよがりな充実感だけがひとつよすがだ。

この無精もんが、よくもまあ頼まれたもないのに、こんなに面倒っちいことに首を突っ込むものだと、自分で自分にあきれる。
あほちゃうか!!

*ヨーロッパは日本とは植物生息気候区分帯を異にしているため、当地で入手し得た数少ない資料では同定が難しい。さらに、イタリア、フランスおよびその他の諸国によって名称も異なるため同定は知り得る限りは学名を付記し、イタリア・ドロミテ山塊で見つけたものはDolomiti2016-1から、フランスシャモニーで撮ったものはChamonix2016-1からの通し番号とする。

撮影年月日 2016/08/04
撮影場所 イタリア・ドロミテ山塊・5Torri周辺
学名
科目・属
季節
生育地
分布