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U.S.A. for AFRICA

第390回 洋楽編 U.S.A. for AFRICA ―― 豪華絢爛、スーパースターたちが夢の共演!

シンディ・ローパーのライヴの余韻……は、さすがに落ち着いてきましたが、そうすると今度は書きたいことがなくなってしまい、うんうんと頭をひねっていたところ、俺と同じようにライヴを観に行ってからシンディ関連の動画を見まくっていたうちのシンガーが、「We Are the Worldは?」と提案してくれまして。そういえば、LIVE AIDのことは書いたけど、『We Are the World』のことは書いていなかったっけ。『We Are the World』がリリースされて、今年でちょうど40周年。いいタイミングだし、懐かしいあの名曲のことをあれこれと書いてみましょうかね。

We Are the World

『We Are the World』は、アメリカの著名アーティストたちがチャリティのために集まったプロジェクト、U.S.A. for AFRICAが1985年3月にリリースした楽曲です。マイケル・ジャクソンライオネル・リッチーが共作し、数々のヒットソングを手掛けたクインシー・ジョーンズがプロデュース。そして、スティーヴィー・ワンダーや、レイ・チャールズダイアナ・ロスなど、アメリカ音楽界のスーパースターたちが歌うという……。リリースから40年経った今でも、これほどの豪華メンバーが集まった楽曲はないよね。

この一大プロジェクトは、『Banana Boat Song』などのヒットで知られるハリー・ベラフォンテの提唱によってスタート。ボブ・ゲルドフがアフリカの飢餓救済のために、イギリスのスターたちを集めて結成したBAND AIDがリリースした『Do They Know It’s Christmas ?』に触発されて、アメリカでもやろう、となったようです。そして、その呼びかけに賛同した45人ものアーティストたちが参加し、あの名曲が誕生しました。

『We Are The World』

『We Are the World』はアメリカのみならず、世界中で大ヒットを記録し、ここ日本でも大きな話題になりました。洋楽に興味がない人でもサビは歌えるくらい浸透していたよね。『オレたちひょうきん族』でもなんだかひどいパロディをやっていたくらい。あの楽曲に込められた意義は……と思わないでもないけど(笑)、印税はチャリティに使われるんだろうし、まあOKなのかね。そしてかくいう俺も、チャリティ云々よりも、信じられないほどの豪華メンバーたちが歌っていることに魅了されていました。だって、とんでもないメンバーが揃っていたんだもの。

先に書いたマイケル・ジャクソンやライオネル・リッチーだけでなく、ボブ・ディランウィリー・ネルソンといった大御所から、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったシンディ・ローパーにブルース・スプリングスティーン……、名前を挙げるときりがないほどのスーパースターたちが勢ぞろい。小学生だった俺が、名前しか知らなかったボブ・ディランやレイ・チャールズの歌声を初めて聴いたのがこの曲だったし、ディオンヌ・ワーウィックジェイムス・イングラムなんて人の名前を知ったのもこの曲がきっかけ。

そして、さらにこの曲にハマるきっかけになったのが、『We Are the World』がリリースされてから半年くらい経ったころに日本テレビの『24時間テレビ』の中で放送された『We Are the World』のメイキング映像でした。その映像がものすごく面白くて、もう夢中になっちゃってね。あの当時、俺の地元の石川県では日テレが放送されていなくて(民放は2chのみ)、隣りの富山県の放送をなんとか受信していたひどい映りの映像を録画して、それこそビデオテープが伸びるくらい、何度も何度も観たもの。今に至る俺のメイキング好きは、確実にあの映像から始まっています。

マイケルがガイドヴォーカルを事前にレコーディングしていたり、コーラスの歌詞はどれがいいのかといくつものパターンを試したりなど、レコーディングってこんなふうにやるのかと感心しちゃってね。いつかやってみたいと思っていたことだったから、メイキング映像のどれもこれもが興味深かった。歌録りの直前にノイズを出したスタッフを、クインシー・ジョーンズが叱るのすら面白くて。そしてミュージシャンとしてレコーディングをやるようになった今、誰かがノイズを出してレコーディングを中断すると、「クインシー、怒るなよー」と言って笑うスティーヴィー・ワンダーの顔が浮かんで、一人でにやにやしちゃう。ノイズ対策のために歌録りの時はアクセサリーを外すというのも、このメイキングのシンディのくだりで覚えたんだよね(クインシーが怒ったのとはまた別)。

そんな興味深い映像のなかでも、ソロパートを豪華アーティストたちが順にレコーディングしていくシーンがとくに面白かった。テイクを重ねていくたびにメロディが変わり、だんだん聴き慣れた音源のテイクに近付いていく。よりディランらしく、とスティーヴィー・ワンダーがボブ・ディラン風に歌って、それをディラン本人が真似る。そして何度歌っても完璧なマイケル……。焦がれるほど憧れるっていうのは、こういうことかもしれない。「俺もこの中に入りたい!」とじりじりした。俺はこのメイキング映像の中で繰り広げられていたことがやりたくてミュージシャンになったような気がする。理想に近付くために、いろんなアイディアを試して、何度もテイクを重ねる。今でもライヴよりも断然レコーディングが好き。作品を作るのが楽しくてしょうがないのです。

最後はちょっと脱線してしまったけど、俺だけでなく、世界中の人たちが、この名曲に大きな影響を受けているはず。リリースから40年経った今でも、その魅力はまったく色褪せていません。音楽が世界中の問題すべてを解決することはできないのかもしれないけど、世界中の人々の心をひとつに出来るのは、音楽しかないんじゃないかと思う。俺は音楽の力を信じています。

※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
ストリーミング&ダウンロードはこちらから
https://linkco.re/vPZ00Quz?lang=ja

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