
第396回 洋楽編 ―― MEGADETH デイヴ・ムステイン率いるMEGADETHが、2026年に最後のアルバムをリリースし、フェアウェルツアーを開催……
オジー・オズボーンが亡くなったショックからまだ立ち直れないでいたところに、MEGADETHが2026年に最後のアルバムをリリースし、フェアウェルツアーを行うことを発表して、なんとも寂しい気持ちになっています。中心メンバーのデイヴ・ムステイン(Vo, G)が60代になったことを思えば、そういう話が出て来てもおかしくはないのかなと思いつつ、引退なんてまだ早いのでは、と思わずにいられません。オジーがラストコンサートを行ったあとに亡くなったことも影響しているのかな……。さて、今回の音楽総研は、久しぶりにMEGADETHについてあれこれと書いてみようかと思います。引退はまだ少し先のことではあるけど……うーん。

前にMEGADETHのことを取り上げたのは2016年のことで、もう9年も前なのかと驚いたけど、9年も経つとやはりいろんなことが変わっているわけで、案の定というべきか、その9年間でMEGADETH恒例(?)のメンバーチェンジが数回行われている。まずはデイヴと共にバンドの創設メンバーだったデイヴィッド・エレフソン(B)が若い女性ファンとのスキャンダル(!)で解雇され、以前デイヴィッドが一時的に脱退していた時期にベースを担当していたジェイムズ・ロメンゾが復帰。そして当時の最新アルバム『Dystopia』のレコーディングに参加していたクリス・アドラー(Dr)は正式に加入せず、SOILWORKなど数々のバンドで活躍していたダーク・ヴェルヴューレンが加入。そして、個人的にはマーティ・フリードマン以降、ベストの人選だと思っていたキコ・ルーレイロ(G)も2024年に脱退……。結局、前回の記事に書いたラインナップからデイヴ以外のメンバー全員が入れ替わってしまった。
MEGADETH初期の代表曲。この冷ややかな感触がいいんだよねー
キコは父親として子供たちと過ごす時間が必要だと、2023年のツアーに参加しないことを表明。これは一時的なものとかと思われたけど、キコは結局2024年に脱退し、キコの代役を務めていたフィンランドのメロディックデスメタルバンド、WINTERSUNのテーム・マンテュサーリが加入することになった。デスメタルをあまり聴かない俺は、WINTERSUNのこともテームのことも知らず、キコの脱退をただただ残念に思っていたんだけど、YouTubeにアップされているテーム加入後のライヴ映像を観る限り、歴代のギタリストたちに勝るとも劣らないテクニシャンだということはよくわかったし、そのプレイがとにかく“クリーン”なことに驚いた。どんなに速いプレイでも、一音一音がはっきりと聴こえる。
まあ、MEGADETHに入るくらいなんだから上手いのは当然なんだけど、これなら安心だとえらそうに思ってみたり。そしてこれはもう難癖だとわかったうえで書くけど、不安要素があるとすれば、テーム自身の音楽性とMEGADETHの相性がいいかどうか、かな。WINTERSUNでのプレイを聴く限り、心配することはなさそうだけどね。そしてやはり、デイヴ・ムステインその人こそがMEGADETHをMEGADETHたらしめている存在なわけで、他のメンバーの影響も少なくないとは思うけど(デイヴは他のメンバーのアイディアに対してもかなりオープンだそう)、デイヴ自身の音楽性が変わったりしない限りは、ファンが期待するMEGADETHらしい音楽を聴かせてくれるだろう。
現ラインナップでの公式ライヴ映像。テーム凄い!
そのデイヴは、現在は完治しているとのことだけど、喉頭がんを患ったこともあり、そういったことも今回の引退表明に影響しているのかもしれない。音楽的にも、健康的にも、ベストな状態で演奏が出来るうちにツアーをして、ファンに別れを告げておきたいと思っているのかも。THE ROLLING STONESやポール・マッカートニーのように、80代になっても活動を続けているアーティストはいるし、彼らより20歳は若いデイヴが引退を考えるのはまだまだ早い……とは思ってしまうけど、やっぱりMEGADETHのようなヘヴィメタルバンドの場合、ストーンズやポールに比べて段違いのアグレッシヴな演奏をしなければならないし、使う体力も段違いだろう。それに、プライベートジェットで悠々と世界中をツアーするアーティストとは疲労度もかなり違うのでは、と想像する。MEGADETHだってプライベートジェットくらい持っているかもしれないけど、ツアーの本数もMEGADETHのほうが多いよね、きっと。
キコ・ルーレイロ風味がふんだんにちりばめながらも、あくまでもMEGADETHらしくて、彼らの相性の良さを確信していたんだけど……
個人的には、ツアーからの引退は仕方がないとは思うものの、アルバムの制作まで最後にする必要はないのでは……と、どうしても思ってしまう。最近なぜか引退の噂が出ていたというBON JOVIにしても、デイヴより年長で現在71歳のティコ・トーレス(Dr)がその噂をきっぱりと否定し、「ミュージシャンというものに引退はない。とくに俺はね」と発言していて、俺もティコのその意見には大いに賛同する。生きている限りは音楽を作り続けたいし、音楽活動を止めるなんて考えられない……けど、かつて突然の腕の故障によって活動休止、バンドの解散を経験したデイヴにしてみれば、そういった不可抗力ではなく、引退するなら自分の意志で決めたいと思っているのかな。ファンとしてはとても寂しいけど、デイヴ本人の意見ならば、それは尊重しないとね……。
フェアウェルツアーはきっと日本にも来てくれるはず……だよね? それは絶対に観に行かないと! そして、あれこれと書いてはみたけど、デイヴが引退の撤回をしてくれることにも、期待を捨てずにおこうと思っています……。
※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
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