
第350回 ライヴレポート編 MÖTLEY CRÜE ―― MÖTLEY CRÜE is Back !! 世紀のジョイントライヴが日本で実現! THE WORLD TOUR(前編)
11月4日にKアリーナ横浜で行われたMÖTLEY CRÜEとDEF LEPPARDのジョイントライヴ、「THE WORLD TOUR」を観に行ってきました! 2022年、その2組にPOISONとJOAN JETT & THE BLACKHEARTSという組み合わせで「THE STADIUM TOUR」が北米で開催された時は、日本じゃこういうのは無理なんだろうな……と思っていただけに、MÖTLEY CRÜEとDEF LEPPARD の2組だけとはいえ、日本での開催が決まった時には快哉を叫びました。……えー、とにかく、2015年に解散(活動中止)したMÖTLEY CRÜEがまた観られることも嬉しいし、意気揚々とKアリーナへ向かいましたよ!

この日はソールドアウトとはいかなったようだけど、80年代から彼らを知るであろう、年季の入ったファンたちで座席は9割方埋まっている。2日間行われる今回のライヴは、出演順が日ごとに変わり、この日はMÖTLEY CRÜEがオープニング。開演時刻の5分前にモーツァルトのレクイエムが流れ、「ずいぶん厳かな曲を選んだなー」なんて思いながら聴いていると、定刻の16時半きっかりに場内が暗転! 怒号のような歓声が起こり、場内総立ち……とはいかず、俺のいたスタンド席では半分くらいが着席したまま。まあ、今日は長丁場だし、年齢層も高そうだしね。俺は興奮を抑えきれず、もちろん立ち上がりました。
ステージ左右に設置された巨大モニターに、ノイズ交じりの画像でBREAKING NEWS(ニュース速報)の文字とともにキャスターに扮した男性が映り、MÖTLEY CRÜEが日本の横浜でライヴを行う、といった内容の原稿を読み上げる。ステージ中央のモニターに映された「THE FUTURE IS OURS」というメッセージがなんともMÖTLEY CRÜEらしい。そして、ニッキー・シックス(B)、トミー・リー(Dr)、ヴィンス・ニール(Vo)のオリジナルメンバーに、ツアーから引退したミック・マーズの後任、ジョン5(G)が登場、『Wild Side』がスタート! これまでのツアーと同様に、NASTY HABITSこと、セクシーなバックダンサー兼コーラスの女性2人もいて、退廃的な空気がアリーナ中を包む。……MÖTLEY CRÜEが帰ってきた!! ……白状すると、俺はこの時点でもう泣きそうでした。
サウンドはこの規模の会場にしては驚くほどクリアーで、とくにヴィンスの歌がよく聴こえたけど、これは、ヴィンスの調子が良さそうなのも関係あるのでは。フェアウェルツアーの時よりも断然声が出ている! そして畳みかけるように続けてプレイされたのは『Shout at the Devil』。ヴィンスが高音域までほんとによく出ている……この曲をこんなにきちんと歌っているのを聴いたのは初めてかもしれない。少し(ほんとに少し)痩せたようだし、ツアーに向けて鍛えていたのかも。「How are you doing Japan?」の問いかけのあと、「ファーストアルバムからやるぜ」と、『Too Fast for Love』をプレイ。あの印象的なフレーズをミック以外のギタリストが弾いている違和感はあれど、ジョンは事前に想像していたよりもバンドにハマっていると思う。
1997年にリメイクされた、セカンドアルバムのタイトルトラック。今回はこのバージョンに近い形で演奏されました
ヴィンスがアコースティックギターもプレイした『Don’t Go Away Mad(Just Go Away)』をはさみ、問答無用の名曲『Live Wire』に続く。……ここで思わずうーん、と唸ってしまった。やっぱりこの曲のリフはミックがいいなあ……。ジョンはミックが弾いたように弾いているけれど、ミックほどワイルドには聴こえない。音色もプレイもクリーンすぎる(上手すぎる)のかな。しかし、ヴィンスの声がほんとによく出ているし、トミーの疾走するドラムも素晴らしい。そして、ダークなSEに続いて俺のフェイヴァリットソング、『Looks That Kill』! テンポが遅めでオリジナルよりずいぶん重い。ジョンはミックのギターソロをニュアンスまで完コピ! 続いて「(自伝映画の)ダートは観たか?」との問いから、『The Dirt』。この曲は馴染みがない人が多いのか、客席の反応はいまひとつ……。モニターにはメンバーの古い写真や映画のシーンに加え、トミー・リーを演じ、この曲ではラップを披露しているマシンガン・ケリーもフィーチャーされた。
メンバーがいったんステージを降りると、ニッキーが一人で日の丸を持って登場。フェアウェルツアーと同じように日本がどれくらい好きかと話してくれたあとに、二人のファンをステージに上げて記念撮影。ファンは泣きそうになっていたようだけど、そりゃ泣くよね……。そしてジョン5を紹介し、ジョンのギターソロタイム。ミックなら絶対に弾かないであろうフラッシーな速弾きをこれでもかと繰り出す。こんなにテクニシャンだったとは知らなかったなあ。ここまで弾ける人なのにテクニックをひけらかさず、原曲通りにミックのプレイを再現するジョンにリスペクトを。
ファン撮影の11/3の動画。ジョン5のプレイはほんとにクリーンで驚いた!
懐かしい『Smokin’ in the Boys Room』がギターソロ前のところまでプレイされると、そのまま『Helter Skelter』、『Anarchy in the U.K』、『Blitzkrieg Bop』、『(You Gotta) Fight for Your Right (to Party!)』と、メドレー形式でカヴァーソングを演奏。どの曲もハマっているな、と思いつつ、『Anarchy in the U.K』あたりからちょっと退屈に感じてしまった。カヴァーよりもオリジナル曲をたくさん聴きたい派です。
今度はトミーが一人残ってステージ中央部分にせり出した花道に出てくると、「ヨコハマー! ヤバーイ!」と絶叫。「すごくビューティフルだ。みんなをハグしたいよ! 実は日本には2週間前からいるんだ。日本を満喫したよ」と、驚くことを。その間に誰かにヤバいって教わったのかな(笑)。そして、「俺たちの長年の友人が亡くなったんだ。この曲を彼に贈るよ」と、名バラード『Home Sweet Home』を。トミーはかの有名なピアノのイントロを変えて弾いていたけど、こちらのバージョンも悪くない。会場中にスマホのライトが光り、なんとも幻想的な雰囲気に。この曲はフェアウェルツアーのラストソングだったんだよね。またライヴで聴けるなんてね……。あの時の俺の涙を返せ(笑)。
貫禄十分に『Dr. Feelgood』をプレイし終えると、エスニックな演奏に乗ってヴィンスがNASTY HABITSの二人を紹介。二人ともセクシーで、凄くゴージャス! そしてジョンがモニターに映ると……、なんとこのエスニックな演奏はジョンの三味線! 撥(バチ)ではなくピックで弾いているようだったけど、その見事な演奏に観客は拍手喝采だ。『Same Ol’ Situation(S.O.S)』、『Girls, Girls, Girls』と2曲のパーティソングからヘヴィな『Primal Scream』へと続き、ラストは『Kick Start My Heart』だ! この日一番の盛り上がりで、MÖTLEY CRÜEのライヴは終了……。DEF LEPPARDのライヴも控えているし、残念ながらアンコールはなし。それでもこの鉄板のセットリストなら、誰も文句はないでしょう。ライヴがオンタイムできっちりと終わり、トミーが「DEF LEPPARDを楽しんで!」なんて言うのを聞いて、モトリーもずいぶん落ち着いたなあ、なんてことをちらっと思ったけど、彼らは破天荒であっても、昔からプロフェッショナルなエンターテイナーだったよね。今日もめちゃくちゃ楽しませてもらいました!
若かりし頃のヴィンスのカッコいいこと! 今は今で違うカッコよさがありますけども
※THE WORLD TOUR後編、DEF LEPPARDのライヴレポートは11月21日に更新予定です!
2023/11/4 Kアリーナ横浜 セットリスト
- Wild Side
- Shout at the Devil
- Too Fast for Love
- Don’t Go Away Mad(Just Go Away)
- Live Wire
- Looks That Kill
- The Dirt
- John 5 Guitar Solo ~ Smokin’ in the Boys Room ~ Helter Skelter ~ Anarchy in the U.K ~ Blitzkrieg Bop ~ (You Gotta) Fight for Your Right (to Party!)
- Home Sweet Home
- Dr. Feelgood
- Same Ol’ Situation(S.O.S
- Girls, Girls, Girls
- Primal Scream
- Kick Start My Heart
※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
ストリーミング&ダウンロードはこちらから
https://linkco.re/vPZ00Quz?lang=ja
※ikkieのYouTubeチャンネルです!
https://www.youtube.com/channel/UC-WSajndNhq0tu7K7-MBEmQ?view_as=subscriber