第194回 ライヴレポート編 MICHAEL SCHENKER FEST ―― ラウドパーク17、伝説の神々の饗宴を目撃!
10月15日、さいたまスーパーアリーナで行われた日本最大のメタルフェス、ラウドパーク17を観てきました! 今年は去年ほど自分好みのアーティストが出演するわけではなかったけど、元THIN LIZZYのスコット・ゴーハム率いるBLACK STAR RIDERSや、日本が世界に誇るLOUDNESS、KISSのジーン・シモンズのソロバンド(GENE SIMMONS BAND)、そして歴代のシンガー3人を迎えたMICHAEL SCHENKER FESTなど、錚々たるメンツを一日で観られるんだからね。見逃すわけにはいかないでしょう! 今回は2日間に渡って行われたラウドパークの大トリ、MICHAEL SCHENKER FESTのライヴレポートをお届けします!
定刻の20時を少し回ったころ、照明が暗転、大歓声の中をトレードマークのフライングVを抱えたマイケル・シェンカーが登場……したのはいいけど、なぜか前屈みで忍び足。引き締まった身体と満面の笑顔でコンディションの良さは窺えるも、そういえばアクションがカッコいい人ではなかったと思わず苦笑い。しかし、ひとたびギターを鳴らすと、そこにいたのはやはり“神”だった! クリアーで艶やかなトーン、叫ぶように鋭いベンディング……、オープニングの短いインストゥルメンタルだけでも、観に来て良かったと感動した。そして、日本語に訳すなら「やあ、マイケル・シェンカーだよー!」といった少々脱力気味のマイケル自身のMCで、在籍した時期は違うものの、それぞれがTHE MICHAEL SCHENKER GROUP黄金期のメンバーだったテッド・マッケンナ(Dr)、クリス・グレン(B)、スティーヴ・マン(Key,G)を紹介し、ロック・インストゥルメンタルの金字塔、『Into the Arena』へ! ドラマティックな名曲が早くも登場し、場内は大盛り上がりだ。
シンガーはゲイリー・バーデン。俺が初めて聴いたのがこの曲でした。 コージー・パウエルが映ってるけど、音源のドラムはサイモン・フィリップスのはず。
そして、ここからは歴代のシンガー達が登場し、それぞれの時代の名曲を歌う。まずは初代のゲイリー・バーデン。『Let Sleeping Dogs Lie』、『Victim of Illusion』と、個人的には地味に感じてしまう曲が続いて少々肩透かし感を味わってしまう……。それでも、この後の『Cry for the Nations』、『Armed and Ready』と続く怒涛の名曲の連発には大興奮! ゲイリーは高音がかなり厳しそうだったし、ベストなパフォーマンスではなかったように感じたけど、彼の年齢や、もともとハイトーンや歌唱力の高さが売りの人ではなかったことを考えると、マイケルの楽曲との相性の良さが再確認出来ただけでも良かったんじゃないかなあ(本人には甚だ失礼だけど)。
ゲイリーのパートが終了、次はいよいよグラハム・ボネットだ! と期待していると、続いてプレイされたのはSCORPIONS時代の『Coast to Coast』。シンガーが交代する時はインスト曲を必ず挟む演出かな。この曲は劇的な展開もなく淡々とした演奏が続くのに、マイケルが奏でるメロディはどこまでも切ない。この人いったいなんなんだろう……と、驚きと感動に浸っていると、スーツにサングラス、オールバックという、例の姿でグラハム・ボネットがステージに登場! 待ってましたとばかりに、これまで以上の大歓声が起こる。グラハムはいろんなバンドで何度も来日しているけど、俺がグラハムのライヴを観るのは今回が初めて。しかもそれが因縁深いマイケルとの共演とは……!! 『Desert Song』、『Dancer』、『Assault Attack』などの名曲で聴ける歌声は、もの凄い迫力だった。さすがのグラハムも少々高音がキツそうなところもあったけど、グラハムは今年で70歳。そんな年齢であの力強い歌声をキープしているのは驚異的だ。グラハム・ボネット健在! 雑誌やビデオで何度も見た、大きく口を開けてシャウトする姿には感激したよ。グラハムとマイケルでまたアルバム作ってくれないかなあ。もっと聴きたかったぞ!
音源のみ。グラハムはアルバム発売後にすぐ脱退しちゃったから(ライヴ途中に脱走)、グラハムが映ってるPVはないんだよね。 グラハムはいろんなギタリストと組んでるけど、マイケルと作った楽曲は群を抜いて凄いんじゃない?
大盛り上がりのグラハムのパートの後は、インストゥルメンタルの名曲、『Captain Nemo』だ。もとがメロディアスな曲だというのもあるんだろうけど、マイケルはほぼレコード通りに弾いてくれるのがいい。ライヴではレコードと全く違うフレーズを弾くギタリストも多いけど、俺はなるべくそのまま弾いてほしい派です。アドリブでレコードを超えるフレーズってなかなか出てこないし、何よりそのフレーズが聴きたくて観に行くんだからね……。そして、次はロビン・マッコウリーの登場。このロビンの歌が素晴らしかった! グラハムやゲイリーには年齢を感じてしまう瞬間があったけど、ロビンには全く感じず。ピッチも正確だし、高音の伸びもいい。パフォーマンスもいちばんロックスター然としていてカッコ良かった。マイケルはルックスが抜群にいいのに、パフォーマンスがどうにもさえないから尚更。『Save Yourself』では、当時疑問視されていたマイケルとの相性の良さをあらためて証明してくれたし、マイケルに必要なのはやはりこの人なのかも……。
ロビンのパートのラストはUFOの『Rock Bottom』。数あるマイケルの名曲の中でも、この曲が俺のフェイヴァリット! ロビンの歌もハマっていたし、何よりマイケルのスリリングなギターが、ぞくぞくするほど素晴らしかった。そして、マイケルの「もう1曲やろうか?」との声で始まったのは、『Doctor Doctor』! 問答無用の名曲の登場に、イントロのフレーズだけで泣きそうになってしまう。3人のシンガーが交代で歌い(グラハムは明らかにカンペを見ながら)、フェスらしく盛り上がったけど、ああ、もう終わりだ……と寂しくなってしまった。そして、案の定この曲でライヴは終了……。
やっぱりマイケル・シェンカーは“神”と称されるのに相応しい、特別なギタリストだった。そして、そのマイケルと数々の名曲を生み出してきた伝説的なシンガー達との共演を観られる機会なんて、今後何回あるだろう? 少なくとも日本ではそうそう無いはず……。楽しい夜だった! ありがとうラウドパーク! 来年も観に来るぞう!
シンガーはロビン・マッコウリー。これはシングルにはならなかったのかな? 当時の映像はファン撮影のものしか見当たらなかったので、去年の日本公演を。 バックのメンバーはラウドパークと同じです(クリスはTシャツも同じ……)。
10/15 さいたまスーパーアリーナ セットリスト
- Searching for Freedom
- Into the Arena
- Let Sleeping Dogs Lie
- Victim of Illusion
- Cry for the Nations
- Attack of the Mad Axeman
- Armed and Ready
- Coast to Coast (SCORPIONS)
- Desert Song
- Dancer
- Broken Promises
- Assault Attack
- Captain Nemo
- No Time for Losers
- This Is My Heart
- Save Yourself
- Bad Boys
- Rock Bottom (UFO)
- Doctor Doctor (UFO)
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