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勝手に植物図鑑

セリバヒエンソウ

逃げるが勝ちなの?!

2015年5月17日、高校時代の同級生たちと奥多摩むかし道にハイキングに出かけた。遊歩道の脇の草むらに爽やかな水色のこの花をたくさん見かけた。

中国から明治時代に観賞用に渡来したとされる外来種で、東京都、埼玉県、神奈川県に記録があり、個体数は増加傾向にあるのだとか。
2002年15刷山渓ハンディ図鑑1「野に咲く花」には記載がなく、平凡社「日本の帰化植物」2003年初版第1刷でみつかった。

特筆すべきは、まずは「分布欄」で、一体「逸出帰化」って何?!「日本の帰化植物」の解説をつまびらかに目を通す。

その前に、帰化植物の定義を知らねばね~
同書によれば、帰化植物とは1)人間の活動によって2)外国から日本に持ち込まれ3)日本で野生化した植物。
ということで、1)、2)は意識的運搬、無意識的運搬の双方を言う。自然状態、野生状態で生育し、さらに世代を重ね、野生化したのを帰化植物というのだとか。

では逸出植物とは?!
逸出とは、すなわち「逃げ出した」ということで、つまり観賞用、栽培用に、言えば輸入されたものが、種が飛んだりして(逃げ出して)適応環境で野生化したのを逸出帰化植物というと。

ちょっと怖くなった。
園芸店に行ってみると、ものすごい種類の輸入種を毎年毎年見かける。それらが逃げ出さないとは言い難く、中に適応力旺盛なものは拡散した場で繁殖域を広げて行って、在来和種を締め出してしまわないと言い切れない。

あああ、ため息が出る。
単純に「かわいいね~」と言っていたい気もするんだがね~
なんだか、悲しくなった。

撮影年月日 2015/05/17
撮影場所 奥多摩むかし道
学名 DELPHINIUM Anthriscifolium hance
科目・属 キンポウゲ科オオヒエンソウ属
季節
生育地 草原や林間の陽地に生える1年草
分布 原産地中国。明治時代中国から渡来。逸出帰化