キツリフネ
あの胸の時めきを…
横尾山荘から槍ヶ岳方面へ少し行った樹林帯下のブッシュにたくさんみかけた。花もたくさん咲いていたが、この花は雨に打たれ弱いと見えて、きれいな花姿をしているのは、数少なかった。
一旦止んだかに見えて、今にもまた降り出だしそうな雲行き。日差しのない林下のうす暗がりの中で、雨露の重みにようやく耐えている風情がけなげで、はかなげでなんとも美しい。
この花との初対面は2006年9月。北軽井澤の友を訪れた折り、友人宅周辺を散歩していて見つけた。アカバナは知っていたが黄色いのを見たのは初めてで、しかも余りにもの大群生に目も飛び出る仰天、感動だった。
大そうな時間が流れたもんだ。そこそこ同じような秋を7回迎えただけなんだが、実に猛烈な時の流れだった。その7年の月日の中で山深く入り、岩高く登り、人を悼み、人と別れ、人と出会い、そして哀しいかな老いた。
老練と言うには及ばない、ただの老いぼれの気がするが、度重なる経験の果てであっても、「『初めて』の時めきと胸の震え、忘れマジ」とつくずく…
なんだか、センチ!
秋だから。
撮影年月日 | 2013/09/08 |
撮影場所 | 横尾山荘周辺・北アルプス |
学名 | Balsaminaceae lmpatiens noli-tangere |
科目・属 | ツリフネソウ科ツリフネソウ属 |
季節 | 秋 |
生育地 | 山地の渓流沿いや湿った林内 |
分布 | 北、本、四、九 |