
《外国語を身に着けたいあなたへ ~その2~》
外国語を身に着ける最短の方法は、その言語にどっぷりと漬かること。
一週間に1回1時間の英会話教室よりも、毎日の仕事や学校生活が英語であれば、苦労はするが当然英語は早く身につく。留学する場合も、自分でアパートを借りたり、寮で生活するよりも、ホームステイをして生活の多くの時間をホストファミリーと過ごすことでスムーズに言語が染み込んでいく。

ちなみに筆者は米国留学でホームステイをした経験がある。
最初は何も伝わらず何を言っているかもまったくわかっていなかったが、3ヶ月経つ頃には生活への慣れもあり、ほぼ聞き取れるようになり、夢でも英語が飛び交うようになる。
半年たつ頃には、脳内に英語⇒日本語に訳して考えるというより、わからない英語も英語で考え、英語に対し英語で答えるようなアルゴリズムができてくる。
そうしてはじめて、日本でいままで学んできた文法の用い方が、体感として腑に落ちる。shouldってそういう風に使うのか、過去分詞ってそういう意味合いなんだ、というように。
しかし年々進む円高、また世界情勢も不安の多い昨今、誰しもが留学できる機会があるわけではない。
そんな中で次におすすめするのは、好きな映画やアニメをその言語でみること、また好きな外国曲をたくさん聞くことなどだ。その1で先述した通り、私たちが言語を習得することに一番大きな影響を与える器官は「耳」。映画やアニメ、ドラマではその会話のシチュエーションといった視覚要素も含めて耳に入ってくるので、より染み込みやすい環境を作れる。

また、実際に外国から日本に来る多くの若者が、日本語を習得した方法として「アニメ」で覚えたというケースは非常に多い。シーンから感情や日常の描写とその時々に使われる日本語を、真似しているうちに覚えてしまうというもの。
ここで一つ大きなポイントが、すぐに真似して声に出してみる、という点だ。学ぶとはまねることから始まる。
そのほかに言語習得のおすすめのやり方として挙げるのは、その言語自体を学ぶよりもその言語を使って何か他のことを学ぶ、であると思う。ダンスでも料理でも、サッカーなどのスポーツでも、英語のコーチをつけてみるといい。すでにその内容について、基礎知識があるうえなので、「あ、これのこと言ってるかな?」と理解が早いのだ。ただこれは、個人レッスンじゃない限り、自分から発するという点においてはなかなか発展しないこともある。
ここまで、言語習得のやり方をいくつか挙げてきたが、ここで一つ気を付けたいことを伝えよう。それは、言語とはツールである、ということを忘れてはならない、ということ。
あくまで、気持ちを伝える、状況を伝える、そのために使うのが言語。コミュニケーションのツールのひとつである。つまり、どれだけ多くの単語を覚えても、文法を完璧に覚えたとしても、自分がコミュニケーションしたい相手や状況がないのであれば、それを駆使する場面は現れないのだ。
なので、外国人の恋人ができると、日本にいてもすぐにその外国語が習得できたり、自分の身の回りに外国の方が常にいる状況になれば、おのずと言語習得の速度は早まる。それほどコミュニケーションをとる必要に駆られるからである。

自分から伝えたい思いや、発信したいことがあること、そしてそれをやり取りする相手があってこそ、コミュニケーションとしての外国語は育つ。
誰しもそういった環境に身を置けるわけではないが、そういう相手がそばにいない場合でも、大丈夫。常に自分が何を感じ何に対してどう思っているかなど、書いたり、自分で鏡に向かって話してみたり、動画をとってみたりしながら、最初は日本語で、また慣れてきたらその外国語も入れて話してみるといい。それには、常に「私は何を感じ、何を伝えたいのだろう」ということを考えることも大切になってくる。
伝えたい思いなくして、コミュニケーションツールである言語は役立たない。
「生きた言葉」というのはそこにまず、思いや感情というカタチのない、万国共通のものがあってからこそ。
外国語習得への道において、自己の意見を知る、ということが実は大切なカギであるということである。