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第274回 洋楽編 PRETTY MAIDS ―― ロニー・アトキンス回復祈願……! 一貫して良質な作品を作り続けてきたデンマークの老舗バンド

コロナウイルスの感染者がまた増えてきましたね。もう個人で気を付けてなんとかなるレベルを超えてる気がするんだけどなあ。ライヴの出演依頼も頂いているんですが、どうなることか……と、暗澹とした気持ちでいたところ、さらに気持ちが重くなるニュースが飛び込んできました。PRETTY MAIDSのシンガー、ロニー・アトキンスの癌が再発し、ステージ4だと診断されたとのこと。いったんは治ったと聞いていたんだけど……、心配です。今回はロニーの回復を祈って、PRETTY MAIDSをご紹介!

PRETTY MAIDSはデンマーク出身のヘヴィメタルバンド。ケン・ハマー(G)とロニー・アトキンス(Vo)を中心に結成され、84年にメジャーデビューしています。デンマーク出身といっても、いわゆる北欧メタル的な透明感のある美旋律が売りではなく、ダーティさもあるロニーのパワフルなヴォーカルと、ケンのメロディアスなギターをいかしたヘヴィかつキャッチーなサウンドが彼らの特徴。とくにロニーのヴォーカルが北欧メタルによくあるハイトーンヴォーカルでないところが、他のバンドとは一線を画し、彼らを彼らたらしめている大きな要因だ。

俺が初めて聴いた曲はセカンドアルバムに収録された『Future World』だったから、87年ぐらいかな。ギターとキーボードのスピーディなリフが印象的で、イントロを聴いてすぐに「カッコいい!」と思ったのを覚えている。ただ、そのころはまだ中学生だったから、そうそう簡単にレコードは買えず……。ようやく買えたのはその2枚あとのアルバム、『Sin Decade』でした。『Future World』がお気に入りではあったけど、このアルバムに収録されているジョン・サイクスのカヴァー、『Please Don’t Leave Me』が聴いてみたかったんだよね。

『Future World』
川崎クラブチッタでのFuture World発売30周年記念ライヴの映像。30年経っても歌声もギターのキレも変わらない!  ケンはずいぶん太っちゃったけど

『Please Don’t Leave Me』はジョン・サイクスがTHIN LIZZY加入前に発表したソロシングルで、フィル・ライノットらTHIN LIZZYのメンバーがヴォーカルとバックの演奏を担当。WHITESNAKEでジョンのことを知って、ジョンのキャリアをさかのぼって聴いているうちにこのシングルのことを知ったんだけど、当時はもう廃盤になっていたし、今みたいにネットもなかったから聴くことが出来なくて。正直なところ、その代替品のような気持ちで聴いてみたところはあったんだけど、このアルバムがまあ、カッコ良かった!

『Come on Tough Come on Nasty』
俺のフェイヴァリットソング。こういう曲をやるバンド減ったなあ……

目当ての『Please Don’t Leave Me』は、じらすかのようにアルバムラストに収録されているんだけど、その他の曲にも一切捨て曲なし! 当時はMETALLICAが大人気で、PANTERAなんかのそれまでのヘヴィメタルよりもさらに重いハードコア系のバンドが台頭していて、俺もまあ嫌いではなかったけど、「最近のバンドはメロディが足らん」とも思っていたから、ギターリフやリズム隊はかなりヘヴィなのに、ヴォーカルはメロディアスでキャッチーというPRETTY MAIDSのサウンドは大歓迎だった。そして、幻の名曲『Please Don’t Leave Me』のカヴァーも素晴らしく、日本で大ヒット。当時のHR/HMファンで知らない人はいないんじゃないか、くらいの浸透度だったんじゃないかなあ。のちにジョン・サイクスのオリジナルが再発されたり、ジョンがリメイクしたりしたのは、このカヴァーのヒットがあったからだと思うよ。

それ以降の彼らに関しては、企画盤のあとに出た『Scream』というアルバムがあまり気に入らなかったこともあって、あんまり熱心に追いかけなくなっていました。それでも、去年発売された『Undress Your Madness』を聴いてみたら、カッコいいのなんのって! 凄すぎて笑っちゃったもの。しかも、80年代から活動しているベテランなのに、今どきのバンドと比べても遜色ないほどの現代性もある。流行りに迎合したわけではなく、ヘヴィかつメロディアスという彼らの良さを保ちながらの現代性だ。これはプロデューサーの手腕なのかもしれないけど、ちょっと驚くほどの完成度だと思う。若い人にも聴いてほしいなあ。

『Serpentine』
目下の最新アルバムから。ロニーの病気が治りますように……

このアルバムに伴うツアーでは、まだ日本に来ていないはず。ロニーの病状や、現在のコロナ禍を思えば、このアルバムの楽曲をライヴで聴くのは難しいかもしれないけど、ぜひとも生で聴いてみたい。そして、このアルバムの内容を超える新作も、もっともっと聴きたい。ロニーは治療を受けながらも、曲作りも続けているという。医学は日々進歩を続けている。ロニーの病気もきっと……!

Ronnie, Hope you get well soon!!

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