1. HOME
  2. エンタメ
  3. ikkieの音楽総研
  4. 第282回 洋楽編 GUITARISTS WHO WERE INFLUENCED BY GARY MOORE ―― 没後10年、あらためてゲイリー・ムーアの影響を振り返る
ikkieの音楽総研

第282回 洋楽編 GUITARISTS WHO WERE INFLUENCED BY GARY MOORE ―― 没後10年、あらためてゲイリー・ムーアの影響を振り返る

前回の音楽総研でENUFF Z’NUFFのことを書いてTwitterで告知したところ、なんとバンドの元フロントマン、ドニー・ヴィー本人がリツイートといいねをしてくれたうえに、俺のアカウントのフォローまでしてくれました(嬉)! 感激しつつも恐縮してしまい、とても光栄です、ありがとうございます、と書いた俺の返信には、「どういたしまして」と日本語で返信まで! ちょっと泣きそうになっちゃった。地道に続けていると、たまにいいこともありますね。がんばろう。

さて、今回は没後10年を迎えて、未発表曲がリリースされることになったゲイリー・ムーア……、ではなく、ゲイリーに影響を受けたギタリストについてあれこれと。ゲイリーは強烈な個性と素晴らしい才能を持ったギタリストで、プロアマ問わず、彼に影響を受けたと公言しているギタリストが世界中にいます(俺も)。今回はその中でも、俺がとくにゲイリーっぽいな、と感じていたギタリスト三人をご紹介! ……これはアーティスト本人にはあまり知られたくないかもしれない(笑)。納得はしてくれるんじゃないかと思うけど。

ます一人目はジョン・サイクス! ゲイリーも在籍したTHIN LIZZYや、WHITESNAKEで知られるジョン・サイクスは、THIN LIZZYのころはかなり”まんま”のスタイルでした。とくにゴリゴリ弾きまくるマシンガンピッキングはゲイリーにそっくり! 開放弦を絡めるフレーズもゲイリーっぽかったな。WHITESNAKEやBLUE MURDERのころになると、揺れの大きい特徴的なヴィブラートで「これぞジョン・サイクス!」と世界中にそのプレイを認識されるようになっていたけど、下降フレーズでのフルピッキングや、泣きのギターにはやっぱりゲイリーの影響を感じるなあ。WHITESNAKEの名バラード、『Is This Love』のソロを聴いて、「おい、これはまるで俺じゃないか」とゲイリーが驚いていたという逸話があります。本人も驚くほど似ているってすごいよね。しかし、ゲイリーに似ていたとしても、そんなことはどうでもいいくらい、素晴らしいソロであることもたしか。個人的にはロック史に残る名ソロだと思う。そうそう、三年前に発表されたゲイリーのトリビュートアルバムでは、思いっきりゲイリーっぽく弾いていて、それもまた最高だよ。

WHITESNAKE 『Is This Love』
87年リリースの名盤を昨年リマスターして再リリースされたもの。サウンドがより生々しくなっているうえに、ソロは別テイクで、エンディングも違う。たしかにゲイリーっぽいけど、この当時からジョン・サイクスのギターはオリジナルなトーンを持っていたことがよくわかる。いいソロだ!

二人目はDEF LEPPARDヴィヴィアン・キャンベル。ヴィヴィアンはゲイリーと同じ北アイルランド出身。ジョン・サイクスと同様に、DIO時代のヴィヴィアンもまた、”まんま”でした。どこかで聴いたフレーズがそのまま出てくることもあったし……。ヴィヴィアンは、DIOというバンドの音楽性もあってか、マシンガンピッキングなど、ゲイリーのヘヴィサイドの影響が大きく出ていたかな。ただ、ヴィヴィアンはDIOを脱退するあたりから、ピッキングよりも左手のハンマリングやプリング(ギターの奏法)を主体にした、レガートでよりメロディアスなスタイルに変わっていて、あまりゲイリー的なプレイをしないようになっているんだよね。個人的には、スタイルが変わった後のほうが好み。そしてこれは偶然なんだろうけど、ヴィヴィアンはジョン・サイクス脱退後のWHITESNAKEやTHIN LIZZYに参加している。ヴィヴィアンいわく、「二人ともゲイリーからパクッている」ので、プレイスタイルが近いんだとか。こういうふうに言えちゃうヴィヴィアンの大ファンです。

DIO 『Don’t talk to strangers』
ヴィヴィアン、DIO時代の雄姿。2:51辺りからの繰り返しフレーズがゲイリーまんまだねー

さて、ラストの三人目はEUROPEのジョン・ノーラム! ジョン・ノーラムにはマイケル・シェンカーリッチー・ブラックモアからの影響も感じるけど、やっぱりゲイリーの影響が大きいんじゃないかなあ。でも、ジョン・ノーラムはそのプレイスタイルについてゲイリーに皮肉を言われたことがあるらしく、「ゲイリーだって昔のジェフ・ベックみたいじゃないか」なんてことを言ったりして、ちょっとスネていた時期もあったみたい。まあ、若かりし頃は誰もが受けた影響を表に出してしまいがちだもの……と言いつつ、彼はなんというか、ギターキッズっぽいところが他の二人より強かったのかもしれないなあ。”まんま”度合が高かったような。そして、ジョン・サイクスが書いた、THIN LIZZYやWHITESNAKEの曲に似ている曲があったりもする。現在の彼にそんなところはないし、独自のスタイルを築いていて、それがまたカッコいいんだけどね。他の二人よりもブルージーで熱いプレイがこれまた俺好みです。

EUROPE 『The Loner』
ゲイリーが亡くなった後のライヴで、ゲイリーの名インストをカヴァー。ゲイリーへのリスペクトを感じる名演!

おそらく三人とも、ギターキッズだったころにゲイリー・ムーアに憧れて、そのプレイスタイルをコピーすることで、ギターが上達したんだろうなあ。そして、若いころはそれが前面に出ていたために、時に揶揄されることもあったにしろ、三人ともゲイリーのクローンではないし、現在はゲイリーからの影響を感じさせつつも、それぞれが個性的な自分達のスタイルを持っている。……このワールドクラスのギタリスト達が憧れたギタリストが、ゲイリー・ムーア! 今回は、ゲイリーのことを詳しく書かずに、ゲイリーの凄さを伝えることが出来たかな?

ゲイリー・ムーア 『Parisienne Walkways』
最後にゲイリー自身の名演を。オリジナルはTHIN LIZZYのフィル・ライノットとの共演でした。日本では羽生結弦選手が使ったことでも有名になりましたね

※ikkieのYouTubeチャンネルです!
https://www.youtube.com/channel/UC-WSajndNhq0tu7K7-MBEmQ?view_as=subscriber