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第391回 俺らの音楽編 ―― ロックはあるけどロールはどうした? リズムの捉え方の重要性

すっかり忘れておりましたが、今回で連載開始から丸14年となりました! 14年って、けっこうな年数ですよね。ぎっくり腰なんかで休ませてもらったことはあったけど、休載もほとんどしてないし、我ながらよく頑張っているなと思います。好き勝手に書かせてくれる編集部と読者の皆様に感謝しつつ、続けられる限りは続けていきますので、これからもよろしくお願いしますね! さて、今回の音楽総研は、14周年アニヴァーサリー企画……ではなく、音楽の三大要素のひとつ、“リズム”についてあれこれと。ちなみに、音楽の三大要素はメロディ(旋律)、リズム(律動)、ハーモニー(和声)の三つですよ。音楽の授業で習いましたよね。

さて、なぜ今回リズムについて書こうと思ったかというと、先日、ギタリストの友人と久しぶりに飲みに行って、バンドをやる上でのリズムの重要性について話していたら、「わかるー!」とお互いに盛り上がっちゃって、この人とはリズムの捉え方が近いなあ……と嬉しくなってね。音楽総研でも書いてみたくなったのでした。リズムの捉え方、というのはテンポキープのことではなく(テンポは演奏するスピード)、演奏する曲のリズムをどう感じているか、ということ。どういうグルーヴで弾くのかとか、スイングするのかしないのか、とかね。キース・リチャーズの、「ロックはあるけどロールはどうした?」という有名な発言も、俺はこのリズムの捉え方のことを言っているんじゃないかなと思っています。キースは精神性も含めて話していそうだけど。

キース・リチャーズ

たとえば、THE ROLLING STONESのようなロックンロールをもの凄く上手いヘヴィメタルバンドがカヴァーして、めちゃくちゃタイトに演奏したとすると、上手いけどなんか違う、と思う人が多いんじゃないだろうか。それこそ「ロールはどうした?」だよね。これは逆もしかりで、ゴリゴリのヘヴィメタルをストーンズ風にルーズに演奏すると、なにか物足りないと思いそうでしょ? どうしてそんなことになるかというと、ギターなんかの音色だけでなく、ロックンロールとヘヴィメタルではリズムの捉え方が違うからだと思う。どちらのほうが良いとか悪いとかいう話ではなく、その楽曲に合ったリズムの捉え方ができているかどうか、が重要なんだよね。

The Rolling Stones 『Harlem Shuffle』
この肩から力の抜けたグルーヴ! HR/HM野郎の俺はこんな風に弾けません……

ざっくり言うと、ヘヴィメタルはタイトで重く、ロックンロールはルーズであってもしなやか、といった違いがあると俺は感じているんだけど(あくまで一例ね。バンドや曲によります)、この感覚を共有しているかどうかはバンドにとってとても重要なこと。この感覚が共有できていないと、どれだけ上手いメンバーが集まっても、どこかチグハグな演奏になってしまう……。まあ、本当に上手い人ならその場で調整できるものなんだけどね。ライヴハウスやYouTubeでアマチュアバンドの演奏を観ていると、おそらくその感覚が共有できていないのか、バンド全体のグルーヴがバラバラで、うーん、となってしまうことがけっこうあります。

これは結構致命的な問題だったりするので、解決するのはなかなかの難題なんだけど、たくさん話し合って、何度も何度も一緒に演奏するしかない。ギター単体でも、ストーンズの曲を演奏していて、フレーズは合っているのに、どうしてもあの雰囲気が出ない……なんて感じていたとしたら、それはリズムの捉え方に問題があるのかもしれない。でも、なんか違う、と感じたとしたら、それは上達のチャンス! 初心者のころは違いにも気付けなかったりするからね。じゃあどうすれば上達するのか、というと、これは何度も何度も曲を聴いて、さらに自分の演奏を録音するのがオススメ。自分の演奏を客観的に聴くことはとても大事です。そうすると、上手く弾けていないところが具体的にわかってくるから、対策も立てやすい。

CHIC 『Le Freak』
グルーヴマスターといえばこの人、ナイル・ロジャース。この曲、けっこう練習しました

あとはね、今まで書いてきたリズムの捉え方は、いわゆる“グルーヴ”についてだったけど、それ以前の問題で、譜割り(音符や休符の長さ、配置のされ方)が理解できていない場合もあるよね。その場合は単純に、楽譜を見るとすぐに解決できたりします。中学生のころ、VAN HALENの曲でどうしても同じようなノリで弾けない曲があったんだけど、楽譜を見てちゃんと譜割りを理解したら弾けるようになってね。耳で聴いているだけだと、裏拍から入っていたり、3連符だったりすることに気が付いていなかったりすることがある。楽譜が苦手って人もいるだろうけど、自分が上手く弾けない曲は、楽譜をきちんと読み込むのもいい方法。ロックだって音楽なんだから、楽譜見たっていいんだよ! そうそう、自分の曲なら、自分で楽譜を書いてみるのもオススメ。まあ、キースもエディ・ヴァン・ヘイレンも楽譜は書いてないと思うけど(笑)。

Van Halen 『Hot For Teacher』
この曲は何回紹介しましたかね……。エディのギターだけでなく、バンド全体のグルーヴが凄い!

さて、長々といろいろ書いてみましたが……、実はまだ書きたいことの半分も書いていなくて(笑)、リズムの捉え方の重要性もまだまだ伝わっていない気がするので、次回もこのテーマでいこうかと思っています。もう少し具体的な練習方法なんかも書いてみようかな。乞うご期待!

※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
ストリーミング&ダウンロードはこちらから
https://linkco.re/vPZ00Quz?lang=ja

※ikkieのYouTubeチャンネルです!
https://www.youtube.com/channel/UC-WSajndNhq0tu7K7-MBEmQ?view_as=subscriber