1. HOME
  2. エンタメ
  3. ikkieの音楽総研
  4. 第395回 洋楽編 ―― Ozzy Osbourne 追悼オジー・オズボーン #2 オジーの音楽的才能がちゃんと評価されますように
ikkieの音楽総研
Ozzy Osbourne

第395回 洋楽編 ―― Ozzy Osbourne 追悼オジー・オズボーン #2 オジーの音楽的才能がちゃんと評価されますように

声優で歌手でもあった櫻井智さんが亡くなられました。もう30年近く前になるけど、智さんのコンサートツアーで、バンドメンバーの一人として一緒にステージに立たせていただいたことがあります。歌やダンスはもちろん、客席からのリクエストに応えて様々なキャラクターの声を披露される後ろ姿を見て、声優さんて凄いと感動したのをよく覚えています。MCも俺がよく知るバンドマンのそれとは全然違って、発声から口調から、まるでアナウンサーが話しているみたいでね。プロだなあ……と感心しきり。そういえば、その時のコンサートではかなりヤバめのトラブルがあったんだけど、それを何事もなかったのように見事に切り抜けていらしたのもさすがでした。ご病気だったのは知っていたけど、まさかこんなに早く亡くなられるとは……。たしか俺と1歳しか違わなかったはず。MAKE-UPDAIDA LAIDAのシンガーだったNoBさんが亡くなったのも数日前に聞いたばっかりだったし、訃報が続いてちょっとへこんでいます……。

さて、今回の音楽総研ですが、前回に引き続きオジー・オズボーンのことをまた書いてみようかな。オジーが亡くなって、ずっとオジーのことばかり考えているんだよね……。そういえば、先日カラオケに行く機会があって、半泣きになりながらオジーの曲ばっかり歌っていたら、一緒に行ったうちのバンドのシンガーに、そんなにたくさんよく覚えてるね、と感心されてね。実はカラオケでオジーの曲を歌ったのは初めてだったけど、カラオケになっていたオジーの曲は全部歌えるかもしれない。オジーの大ファンだからというのもあるけど、やっぱりキャッチーで覚えやすいメロディだしね。そして、意外とキーが高いことにもあらためて気が付いたりもしました。

オジーは決して歌唱力が高い人ではないけど、もちろん下手ではないし、歌唱力という面ではかなり過小評価されていた人だと思う。キーが高い=歌が上手い、なんてことはないんだけど、原曲キーのまま歌える男性ってそんなにいないんじゃないだろうか。7月に行われた『Back to the  Beginning』でもいろんなアーティストがオジーやBLACK SABBATHの曲をカヴァーしていたけど、高いところがキツそうな人が多かったもの。

『Perry Mason』
この曲、歌ってみるとなかなか難しいです

あの日参加した唯一の女性シンガー、Halestormのリジー・ヘイルは、女性シンガーの中でもかなりキーが高い人なので、原曲キーのままなんなく歌いつつも、どの曲も叫ぶように歌っていて、リジーらしいとは思いつつ、そんなに叫ばなくても……なんて思っていたんだけど、自分でも歌ってみたら、けっこう叫んでしまっていることに気付いて、もしかして普通は叫ばないと歌えないメロディなのかも、なんてことも思いました。オジーみたいに軽やかには歌えないんだよね。いや、リジーみたいな凄いシンガーと俺なんかを比べるのはおこがましいんだけど。でもね、機会があれば皆さんもオジーの曲を歌ってみてください。オジーみたいにはなかなか歌えないよ。

『Mama, I’m Coming Home』
ザック・ワイルドらしいサザンロック風味が散りばめられているけど、メロディラインはまぎれもなくオジー。最後のライヴでも演奏されました

その一緒にカラオケに行ったうちのシンガーはHR/HMを通ってこなかった人なので、オジーの曲をあまり聴いたことがなかったみたいなんだけど、俺が好きな曲をあれこれ聴かせていると、メロディがいいね、とか、ビートルズみたい、なんてことを言っていて、そう、オジーの曲はメロディがいいんだよ! と嬉しくなった。40年来のファンとして、オジーのことをあまり知らない人に褒められるのが嬉しくてね。オジーの曲はランディ・ローズジェイク・E・リーザック・ワイルドのようなギタリストと、ボブ・デイズリーのような経験豊富なミュージシャンが大半を作っていたんだろうけど(初期の楽曲の歌詞はほとんどボブが書いていたらしい)、作曲パートナーに関わらずどの曲にもオジー印というべき特徴があるし、メロディに関してはやっぱりオジーが作っていたのでは。ジェイクはオジーのことを“メロディの天才”と話していたことがあって、自分が作ったリフにオジーがメロディを付けて、オジーらしい曲になるんだ、と。

『So Tired』
隠れた名バラード。オジーらしからぬソフトな曲調だけど、ほんとにいい曲です

オジー・オズボーンという人は、その強烈なキャラクターゆえに、シンガーとしての実力や、作曲能力が正当に評価されてこなかったかもしれない。また、いつの時代もオジーのバンドには凄腕ミュージシャンが揃っていたから、音楽的な実力という面ではそちらに目がいくのも仕方がない……とは言いつつも、そのミュージシャンたちが輝いていたのも、オジーという存在があったからこそ。今回の訃報に際し、オジーのバンドにいたミュージシャンたちがこぞってオジーへの感謝をつづっているのがそれを証明しているよね。

悲しいきっかけではあるけど、今回のことであらためてオジーの音楽の素晴らしさにみんなが気付いてくれたらな、と思います。もちろん、お前に言われなくてもわかってるよ! って人がほとんどだろうけど。

『So Tired Guitar Solo Cover』
わたくしikkieによるカヴァー。オジー追悼の意を込めて……

※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
ストリーミング&ダウンロードはこちらから
https://linkco.re/vPZ00Quz?lang=ja

※ikkieのYouTubeチャンネルです!
https://www.youtube.com/channel/UC-WSajndNhq0tu7K7-MBEmQ?view_as=subscriber