
第351回 ライヴレポート編 DEF LEPPARD ―― 現在進行形のバンドのプライドを見せつけた貫禄のライヴ! THE WORLD TOUR(後編)
お待たせしました! 11月4日にKアリーナ横浜で行われたMÖTLEY CRÜEとDEF LEPPARDのジョイントライヴ、「THE WORLD TOUR」のライヴレポート後編です!
※前編はこちら

MÖTLEY CRÜEのライヴが大盛り上がりで終了し、次はいよいよDEF LEPPARDの登場! インターバルの間のBGMは誰が選んでいるのかわからないけど、THE ROLLING STONESや往年のグラムロックなど、英国のアーティストばかりなのがいかにもDEF LEPPARDらしい。30分ほど経ったころ、ジョー・エリオットが歌うデイヴィッド・ボウイの『Heroes』が聴こえてきた。あれ、こんなカヴァー知らないぞ、と聴き入っていると、大きなモニターにカウントダウンが表示され、客席から大きな歓声が上がる。そして、オリジナルアルバムとしては最新の『Diamond Star Halos』のオープニングトラック、『Take What You Want』でライヴスタート!
イントロのアルペジオのカッコいいこと! そしてこの曲、彼らの往年の名曲にも負けてないよね
イントロ頭のアルペジオはおそらくSEで、クレッシェンドするところからが実際の演奏じゃないかと思ったけど、どうだろうか。『Diamond Star Halos』はDEF LEPPARDらしい名盤で、とくに『Take What You Want』がお気に入りだったから、俺はもうオープニングから大興奮していたんだけど、俺のいたスタンド席の観客は最近の曲に馴染みがなかったのか、座ったままの人が多く反応も薄め……。
遠目で見るメンバーは、相変わらず筋肉質でスタイル抜群のフィル・コリン(G)をはじめ(ジョーも前回に比べてずいぶんスリムになった)、全員が若々しく、ロックスターらしいオーラがある。サウンドはMÖTLEY CRÜEよりもずいぶんすっきりした印象で、実に聴きやすい……が、フィルの音がヴィヴィアン・キャンベル(G)に比べて小さい。ステージに向かってほぼ中央の席だったから、バランスよく聴こえるはずなんだけどな。これは残念ながらラストまで改善されず。
「Good evening Yokohama! How are you feeling tonight?」の呼びかけのあと、お約束の「みんなにもうひとつ質問があるんだ。Do you wanna get rock ?」からの『Let’s Get Rocked』! この問答無用のパーティソングに、隣りで座っていた男性が「かっけー!」と叫び、辛抱たまらんといった様子で立ち上がった。そう、DEF LEPPARDはカッコいいんですよ! そして『Animal』、『Foolin’』、『Armageddon it』と往年の名曲が続き、観客も大歓声でバンドの熱演に応える。ジョーは少々高音域がキツそうではあるものの、歌声そのもの魅力はまったく変わらない。若い頃とはパワーキーが変わったんじゃないかな。
「みんな元気だったか? 戻って来られて嬉しいよ。ロックダウンで家から出られなかったから、ニューアルバムを作ったんだ」と話すジョー。そういえば、このツアーもコロナのせいで当初の予定よりずいぶん遅れてスタートしたんだよね……。そして新作から『Kick』をプレイ。T-REXっぽいルーズなグルーヴが気持ちいい。最近はジョーのグラムロック趣味をどんどん前面に出している気がするね。続いてプレイされたのは名バラード『Love Bites』。レス・ポールを抱えたヴィヴィアンの泣きのギターソロが素晴らしい! DEF LEPPARDでは控え目なヴィヴィアンだけど、やはりヴィヴィアンのギタープレイは一級品だ。しかしこの曲、昔みたいにエンディングソロも弾いてほしい……。
残念ながら公式動画はなし。このライヴのヴィヴィアンのギターが好きなんだー
ポップなコーラスがDEF LEPPARDらしい『Promises』を挟み、アコースティックギターを持ったジョーが客席中央の花道に出て来て、リック・アレン(Dr)のビートに乗りながら、リック、リック・サヴェージ(B)、ヴィヴィアン、フィルの順でメンバーを紹介。そして10月に亡くなったウドー音楽事務所(今回のツアーの招聘元でもある)の有働誠次郎氏に追悼の意を述べ、新作から『This Guitar』をアコースティックスタイルでしっとりとプレイ。この曲に限ったことではないんだけど、アコースティックの演奏だと、彼らのコーラスの上手さがより際立つ。ギターソロでは、フィルがアコギなのに歪んだエレキの音を出してびっくり! アコギを歪ませたのではなく、他のギターの音をチャプターして出すエフェクターを使ったんじゃないかと推察……。
「俺たちと一緒に歌ってくれるか?」とのジョーのMCに続いて、花道に残ったジョーとサヴ(リック・サヴェージの愛称)の2人で『When Love & Hate Coraide』。ジョーの歌がいい。ジョーは決して世界一上手いシンガーではないけど、心に響く歌が歌える人だよね。ギターソロからはエレクトリックバージョンに変わってよりドラマティックに。ソロはフィルとヴィヴィアンの掛け合い。いいコンビだ!
名盤『Hysteria』収録の『Rocket』に続き、『Bringin’ on the Heartbreak』、インストゥルメンタルの『Switch 625』と、聴かせるギタープレイが満載の2曲のラストは、隻腕のドラマー、リック・アレンの短いドラムソロ。いつもいつも、彼のプレイには驚かされてしまう。そして続いて俺のフェイヴァリットソング『Hysteria』! モニターに映されたバンドの古い映像や、いくつもの写真が楽曲をノスタルジックに彩っていく。もちろん亡くなったスティーヴ・クラーク(G)の写真も……。
最後のコードを伸ばしたまま、バンドは『Pour Some Sugar on Me』のリフへ繋ぎ、会場の雰囲気をガラッと変えた。この超有名曲に、スタンド席で座ったままだった観客も体を揺らし、大きな歓声と拍手が起こる。そして、永遠のロックアンセム『Rock of Ages』で会場中に大合唱を巻き起こして、これを聴かなきゃ終われない、名曲『Photograph』がスタート! モニターにはフォトグラフにひっかけてバンドの写真と、前日に撮影したのか、この日の入場時のものなのか、Kアリーナに集まった大勢のファンの写真も映された。バンドは余韻たっぷりにこの曲を締めくくり、この日のライヴは終了……。「ドーモアリガトー、ヨコハマ! Thank you for two fantastic Night! また会う時まで、俺たちのことを忘れるなよ。俺たちも忘れないぜ。サヨナーラー!」と、ジョーがマイクを置いた後もメンバーたちは何度も歓声に応え、観客も素晴らしいライヴを見せてくれたバンドを讃えた。
1983年のオフィシャルライヴ映像。当然スティーヴ・クラークがいて、リックの左腕も……。1曲目に『Rock of Ages』をやっているんだけど、ずいぶんテンポが速いね!
MÖTLEY CRÜEとDEF LEPPARDという組み合わせを初めて聞いた時は、両バンドにはあまり接点があるように見えなかったし、なんだか意外に感じたけど、終わってみればファン層にも大きな違いはなく、モンスター級のロックバンドを一度に観られるという、素晴らしい夜だった。往年の楽曲ばかりのセットリストで、以前と変わらぬワイルドなライヴを見せてくれたMÖTLEY CRÜE、オープニングから新曲をプレイし、現在進行形のバンドのプライドを見せてくれたDEF LEPPARD。両者の違いはそれぞれに魅力たっぷりで、3時間という長丁場もあっという間に終わってしまった。それにしても両バンドともに名曲の多いこと! 厳選されたセットリストとはいえ、やっぱり凄いことだよ。
HR/HMはもう最新の流行ではないかもしれないけど、今でも2万人規模の会場を埋め尽くすファンがいる。そして、その会場を魅了するバンドも、もちろん健在! ……しかし、すっかりオジさんになった俺は、3時間立ちっぱなしで(往復の電車も入れると5時間)膝と腰がやばかった。フィルを見習って体鍛えないとなあ……。
2023/11/4 Kアリーナ横浜 セットリスト
- Take What You Want
- Let’s Get Rocked
- Animal
- Foolin’
- Armageddon it
- Kick
- Love Bites
- Promises
- This Guitar
- When Love & Hate Coraide
- Rocket
- Bringin’ on the Heartbreak
- Switch 625
- Hysteria
- Poor Some Sugar on Me
- Rock of Ages
- Photograph
※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
ストリーミング&ダウンロードはこちらから
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※ikkieのYouTubeチャンネルです!
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