第353回 洋楽編 David Coverdale ―― My favorite singer of all time!! デイヴィッド・カヴァデール、DEEP PURPLE加入50周年!
いつの間にか12月も半ばですねえ。温暖化の影響か、暖かい日が続いてなんだかあんまり年末だという実感がなかったんですが、今年の音楽総研は今回で最後なんですよね。まごうことなき年末ですよ! ……さて、今年最後の音楽総研は、1973年にDEEP PURPLEに加入してから今年(もうすぐ終わるけど)で50年というデイヴィッド・カヴァデールについてあれこれと。デイヴィッドは2015年にDEEP PURPLE時代の楽曲をWHITESNAKEでセルフカヴァーした『The Purple Album』のスペシャル・ゴールド・エディションを10月にリリースしたところ。

先述したとおり、デイヴィッド・カヴァデールは脱退したイアン・ギランの後任として1973年にDEEP PURPLEに加入し、プロのシンガーとしての活動を開始。地元イングランドのヨークシャーのローカルバンドで活動をしていたデイヴィッドは、たまたま見かけたDEEP PURPLEのシンガー募集の広告に応募してオーディションを受けたという。そして見事その座を射止め、翌年にはロック史上に残る大名盤『Burn』をリリースする。……あれ、そういえば『Burn』制作当時のデイヴィッドって、まだ22歳だったのか! 70年代にしても、WHITESNAKEが大成功した80年代にしても、ロックはまだまだ歴史の浅い音楽で、アーティストたちもみんな若かった……けど、それにしてもだ。あんなに凄い歌を22歳の青年が歌っていたなんて、やっぱり驚愕しちゃうよね。
1974年に行われた伝説的なカリフォルニアジャムでのライヴ。この当時のデイヴィッドはまだ22歳のはず。それでこの色気と迫力……!
そして、さらに驚いたのが『The Purple Album』のスペシャル・ゴールド・エディションに収録されている、デイヴィッドがDEEP PURPLEのオーディションに送ったというデモ! そんな貴重な音源が残っていたのも凄いけど、デビュー前、しかも17~18歳(!)だったというデイヴィッドのヴォーカルがすでに完成していて、デビュー後と変わらない歌声だったのには本当にびっくりした。日本なら高校生じゃん! こんなに渋い高校生いないわ。最近録り直したと言われても信じてしまいそうなほどの貫禄なんだよ。どれだけ早熟なんだ……。
デイヴィッドのヴォーカルは前任のイアン・ギランとまったく違うし、DEEP PURPLEもよく選んだなと思うけど、こんな歌を聴かされたら、そりゃ1回は一緒にやってみようとなるわな、とも思う。以前からよく言われているように、デイヴィッドの歌にはポール・ロジャースからの影響を感じるし、ポールをバンドに入れようと画策していたというリッチー・ブラックモア(G)が気に入ったんだろうな、なんてことを想像してしまう。2015年の『The Purple Album』を持っているから今回のはいいや、なんて人もぜひ聴いてみてください。このデモを聴くためだけにでも買う価値ありです。ちなみにサブスクでも聴けるよ。
トミー・ボーリン在籍時の来日公演から。本文では触れていないけど、グレン・ヒューズのヴォーカルも凄い!
デイヴィッドはDEEP PURPLEで『Burn』と『Stormbringer』に、リッチーが脱退してトミー・ボーリンを迎えた『Come Taste the Band』の3枚の作品を残していて、世間的にはやはり『Burn』の評価がいちばん高いように思うけど、他の2枚が『Burn』より良くないかというと、決してそんなことはない。『Stormbringer』にはタイトル曲の他にも『Lady Double Dealer』や『Soldier of Fortune』という名曲があるし、『Come Taste the Band』は初期のWHITESNAKEにも通じる色気のあるブルーズロックが聴けて、DEEP PURPLEよりもWHITESNAKEに思い入れがある俺はとても気に入っています……が、リッチーの大ファンでもある俺としては、少々複雑だったりもするんだけどね。でも、『You Keep on Moving』なんてほんとにいい曲だよ! あらためて聴いてみてほしいな。
DEEP PURPLEの解散後、デイヴィッドは自身が加入する前のDEEP PURPLEのベーシストだったロジャー・グローヴァーをプロデューサーに迎え、2枚のソロアルバムをリリース。その2枚のアルバムでほとんどの曲を共作したギタリストのミッキー・ムーディとWHITESNAKEを結成し、数多のメンバーチェンジや紆余曲折を経たのちに世界的な大成功を収め、現在の地位を築くことになります。カヴァデール・マニアの俺としては、デイヴィッドが今回のようなレア音源をリリースしてくれることは大歓迎で、どんどんやってくれ、と思っているんだけど、聞くところによると、デイヴィッドは『Saints & Sinners』以前のアルバムの権利を持っていないらしく(誰が持ってんの?)、それらのアルバムはアニヴァーサリー盤がリリースされていないし、サブスクでも公開されていない。初期のアルバムのリミックスが聴きたいんだけどなあ……。
DEEP PURPLE時代の名曲をWHITESNAKEでセルフカヴァー。これは2015年にリリースしたものにストリングスを加えて今年9月に再リリース。やっぱりこういう低音のヴォーカルこそがデイヴィッドの魅力だよね
初期WHITESNAKEのギタリストだったバーニー・マースデンも亡くなってしまったし、デイヴィッドには当時のアルバムの権利をなんとか取り戻してもらって、最新技術でのリミックスや、レアなデモを聴かせてほしい。なんとかしてー!
※2024年、最初の掲載は1月9日の予定です。皆様、よいお年を!
※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
ストリーミング&ダウンロードはこちらから
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※ikkieのYouTubeチャンネルです!
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