第408回 邦楽編 ―― SAKI 苦悩を乗り越え、高らかに鳴る「サキノオト」
いつの間にかもう3月なんですねえ。俺が住んでいる東京では暖かい日も増えてきたように思いますが……そうするとあれですよ、花粉がね。数年前に、朝に忘れずに飲んでおけばその日は大丈夫、みたいな自分に合う薬を見つけていたんですが、今年は飛散量が例年よりかなり多いらしく、全然効いている感じがしません。薬を飲んでいないともっとつらいのかもしれないけども。寒いのは苦手だし、これからどんどん暖かくなっていい季節になるのにな。はあ……。さて、今回の音楽総研は、自身初の自叙伝『サキノオト。〜ギタリストSAKI自叙伝〜』を発売したSAKIのことについてあれこれと。自叙伝、読み応えありますよう。

青天の霹靂だったNEMOPHILA脱退からもうすぐ2年。現在のSAKIはL’Arc-en-Cielのベーシストであるtetsuya自身が結成したラルクのトリビュートバンド、Like-an-Angelに参加しつつ、ギタリストとして様々なアーティストのサポートやセッション、そして自身のソロ活動を行っています。NEMOPHILA脱退後のソロライヴでは、もう音楽を辞めようとまで思い詰めていたことを話していて、ちょっと心配になるほどだったけど、精力的に活動している彼女をまた見ることができて、ファンとしては安心したし、とても嬉しいです。無理しないでね、とは思うけど。
SAKIソロシングル。いいメロディ!
NEMOPHILAからの脱退は、内情を知る由もないファンからすれば唐突に思えたし、脱退理由として発表された「方向性の違い」というのも、具体的に何がどう違ったのかはわからず。そう言われちゃったら納得するしかないとは思いつつも、なんだかもやもやしたままだったから、今回の自叙伝にはその辺のことも書いてくれているのかなと、おそるおそる読み始めました。本書にはSAKIの幼少期の話やロックへの目覚め、SAKIのファンならよく知っている聖飢魔Ⅱとの出会い、Mary’s BloodやNEMOPHILAでの活動についてなどがしっかりと書かれていて、読み応え十分。NEMOPHILA脱退のこともちゃんと書いていてくれています。その内容についてここでは詳しくは書かないけど、脱退は武道館でのライヴの後に急に出てきた話ではなく、サードアルバム『Evolve』の制作時期から考えていたことのようです。
……しかし、それを読んだ今でも、辞めなくてもよかったのでは、と思ってしまうんだけどね。しばらく休むとか、そういう選択肢はなかったのかな……。外野があれこれ言うことではないのはよくわかっているけど、NEMOPHILAのSAKIはほんとにカッコよかったから。自叙伝の話からは少しズレるけど、俺はステージでのパフォーマンスがカッコいいミュージシャンが好きでね。演奏技術や歌唱力が高いのはプロならば当たり前。それに加えてステージングでも魅了してほしいんだよね。ロックミュージシャンならとくにそう。そして、これは男尊女卑ともとられかねない発言かもしれないけど、HR/HMは男性中心の音楽として発展してきたこともあって、拳を振り上げたり、ヘッドバンギングだったりと、男性がやるからこそ、様になるようなアクションが多いでしょ。それと同じようなアクションを女性のアーティストがやると、どうも無理してやっているように見えたり、様になっていないと感じることがあってね。でもこれ、不思議なもので、男女問わず演奏が上手い人は楽器の構え方が自然だから、ただ立っているだけでカッコよかったりもするんだけど。
このシリーズ面白い! 自叙伝にも書かれたレコーディング中の苦労話が聞けます
SAKIのステージングのことは何度もここに書いてきたけど、表情や体の動き、佇まいに華があって、ほんとに絵になる。自叙伝ではステージングについても言及していて、やっぱり魅せることをちゃんと意識している人なんだな、と思って納得した。それも、バンドを始めたころはあまり考えていなかったらしく、当時のバンドメンバーに諭されてから、鏡の前で練習するようになったと。これ、大事なんだよね。どれだけ男前でも、どれだけ美人でも、いきなりぽーんとステージに立たされてカッコいい人なんていない。ダンサーとかだって、鏡のあるスタジオでリハーサルしているでしょ。ミュージシャンだって、まあダンスまではしなくても、自分がどう見えているのか、鏡や録画した映像を観てちゃんと認識しておかないと。思いのほかカッコ悪いもんです、自分って。そういうことに抵抗がある人もいるみたいだけど、恥ずかしそうにもじもじとステージに立っている姿ほどカッコ悪いものはない。ステージに立つなら音楽に没頭して、思いっきりカッコつけていいんだよ。
俺は信じられないくらいカッコいいと思うんだけど、どう?
俺がSAKIのことを知ったのはMary’s Bloodがメジャーデビューしたころだったけど、音楽的にはNEMOPHILAのほうが好みだったこともあり、NEMOPHILAでのSAKIのファンになりました。今ではMary’s Bloodのファンでもあるけども。NEMOPHILAの活動初期は、コロナ禍真っ只中で、表に見える彼女たちの活動は動画配信などが中心になっていたんだけど、実はそのころ、俺は体調を崩して、一年以上ずっと療養していてね(コロナではありません)。病院に通う以外はほとんど誰とも会わず一人で家にこもっていて、気持ちも体調もどんどん落ち込むなか、毎週のように更新されるNEMOPHILAやGacharic Spinといったバンドたちの配信に、どれだけ救われたことか。大げさでなく、彼女たちは命の恩人です。その恩人のNEMOPHILAとSAKIが別々の道を選んだことは今でも悲しいし、バンドに戻るのは難しかったとしても、いつかSAKIのソロライヴにNEMOPHILAのメンバーが参加したりしないかな、なんて淡い期待を抱いています……。GUNS N’ ROSESだってスラッシュとダフ・マッケイガンが戻ったし、何が起こってもおかしくないでしょ。でもね、どんな形でもずっと応援するよ。どちらもほんとに魅力的なアーティストだもの。
自叙伝、オススメします! SAKIのことが、もっと好きになりました。
※文中敬称略
※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
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