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第236回 L.A.GUNS ―― 完全復活!二枚看板揃い踏みで充実の新作を発表!

6月も後半に入り、東京はすっかり梅雨モードになりました。わたくし先日、このじめじめした気候のせいか細菌性胃腸炎(いわゆる食中毒)にかかり、一週間ほど寝込んでしまいまして。今は普通に食事も摂れているんですが、数日間スポーツ飲料とヨーグルトぐらいしか口に入れることが出来ず、ほんとに辛かったです……。皆様もくれぐれも気を付けて! さて、今回の音楽総研はL.A.GUNS をご紹介!前回のFASTER PUSSYCATとはメンバーが複雑に入れ替わっていたりと、深い関係があるバンドなんですよね。

L.A.GUNSは83年にトレイシー・ガンズ(G)が中心になって結成、88年にメジャーデビューしたアメリカのHR/HMバンドです。メジャーデビュー前にはGUNS N’ ROSESのアクセル・ローズ(Vo)も在籍しており、さらにその名前で想像が付く通り、トレイシーとアクセルがL.A.GUNSの一時解散時期に結成したバンドがGUNS N’ ROSESでした。トレイシー以外には日本でも人気のあったイギリスのバンド、GIRL のシンガーだったフィル・ルイス、W.A.S.P. のスティーヴ・ライリー(Dr)、FASTER PUSSYCATのケリー・ニケルス(B)に、ミック・クリップス(G)というラインナップでデビュー、名の知られたメンバーが集まったこともあり、鳴り物入りのデビューだったように記憶しています。その来歴からGUNS N’ ROSESと比べられることも多かったかな。

ただ、田舎の高校生だった俺は79年デビューのGIRLのことはよく知らなかったし、ましてやデビュー前のGUNS N’ ROSESにいたトレイシーのことなんて知るわけもなく……、他のどのバンドとも比べずに、純粋にL.A.GUNSの音を楽しめたように思います。L.A.GUNSは単純にカッコ良かったんだよね。ルックスも良かったし、グラマラスかつ、パンキッシュで勢いのあるサウンドは俺のイメージするLAメタルそのもので、夢中になって聴いていました。LAメタルに対してなんとなく能天気な明るいサウンドをイメージしている人も多いと思うんだけど、やっぱり、L.A.GUNSや初期のMÖTLEY CRÜEみたいに退廃的なムードが漂ってないとね。

『One More Reason』
ファーストアルバムから。この曲大好き!高校の文化祭でやりました。

80年代後半のHR/HMバブルに乗った彼らは、ファーストアルバム、セカンドアルバム共に100万枚を超えるセールスを記録するなどの大成功を収めていたんだけど、90年代に入り、グランジ・オルタナブームが起こると、他のHR/HMバンドと同様に人気も低迷、さらにバンドの看板だったフィルが脱退してしまう。俺はフィルのヴォーカルとトレイシーのギターあってこそのL.A.GUNSだろ、と思っていたので、フィルの脱退以降はあんまり聴かなくなっちゃったんだけど……、それ以降のL.A.GUNSはメンバーチェンジを繰り返し、音楽的にも迷走している印象だった。トレイシーって、なんだか流行りに乗っちゃう人なんだよね。

『The Ballad Of Jayne』
セカンドアルバム収録の大ヒットシングル。トレイシーのショートヘアにびっくりしたっけ。それにしてもフィルの美しいことといったら!

ただまあ、トレイシーはこれが売れているから、売れそうだから、と打算的にスタイルを変えるのではなく、これカッコいいじゃん、って感じで、パッと取り入れちゃう人なんじゃないかと想像しているんだけど。MÖTLEY CRÜEのニッキー・シックスとバンド がやりたかったから、なんていう理由で、自分で作ったL.A.GUNSから脱退したりもしているし、純粋というかなんというか……。でも、トレイシーが脱退したことによって、前回のFASTER PUSSYCAT同様に、二つのL.A.GUNSが存在することになっちゃうんだけどね。

99年にフィルを含む全盛期のメンバーが再集結していたものの、トレイシーが脱退してしまったことで、バンドはフィルを中心にL.A.GUNSの活動を続けることになる。しかし、ニッキーとのバンドが頓挫してしまったトレイシーは、なんとL.A.GUNSの名前で新たにバンドを結成……。結局、数年後にトレイシーのバンドは解散することになるんだけど、これはトレイシーが悪いと思うなあ。いくら自分の名前を冠したバンドだとはいえ、自分から脱退しているんだからね。それでもやはりお互いにケミストリーを感じていたフィルとトレイシーは16年に和解、L.A.GUNSとして活動を再開した。

『The Devil You Know』
最新アルバムのタイトルトラック。途中のリズムチェンジはどうも音頭っぽく聴こえてしまう(笑)。しっかし、フィルが今年62歳なんて信じられないね……。声もルックスも衰え知らず!

17年、19年と続けてアルバムを発表しているL.A.GUNSは、今のところとても順調なように見える。とくに、今年になって発売されたアルバムが素晴らしい! 80年代の彼らを彷彿とするサウンドではあるけど、ものすごく勢いがあるし、全盛期に勝るとも劣らない内容だと思う。ファンはやっぱり、この“音”を求めているんじゃないかなあ。ミュージシャンとしては新しいことを試したいだろうし、トレイシーは今でもいろんなジャンルの音楽を取り入れたいと思っていそうだけど、L.A.GUNSの名の下で活動するのなら、これが正解なのでは……?

※ ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!とにかくアクセス! 動画もあるよん。http://dokodemoguitar.com