小武芽生 ―― 2020年東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ―6―
スポーツクライミングがオリンピック追加種目として最終承認されてから早3年が経ち、2020年東京開催まで1年を残すのみになりました。TVその他、各メディアの注目度は日に日に増し、社会の認知度は高まり、クライミングがオリンピック種目になっていることは既に周知のこととなりました。 しかしながら世界初となるこの試みの中で課題山積の現状は否めない様相です。選手たちもまた難問を抱えながらも雄々しく立ち向かい、研鑽の日々を送っていることでしょう。 来る2020年東京五輪の選手陣の華々しい活躍に大いに期待し、大会におけるクライミング種目が成功を納め、クライミングワールドが広く世界に受け入れられることで拓けるであろうクライミング界の輝かしい未来に希望をつなぐものであります。 「VIVA ASOBIST」では「2020年東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ」と題し、日々研鑽を重ね続けるスポーツクライミングの選手やその周辺に焦点をあてて、ここに皆様にご紹介いたします。
プロフィール
小武 芽生(こたけ めい)
フリークライマー
1997年北海道生まれ。20歳。大学2年生(2017年5月現在)
主な戦績【国内】
2010年8月:第13回JOCジュニアオリンピックカップ大会リード 2位
2011年5月:JFAユース選手権2011リード 13歳 2位
2011年8月:第14回JOCジュニアオリンピックカップ大会リード 14歳 3位
2012年3月:JFAユース選手権2012リード 4位
2012年8月:第15回JOCジュニアオリンピックカップ大会リード 15歳 4位
2013年3月:クライミング・日本ユース選手権2013 リード 1位
2014年3月:クライミング・日本ユース選手権2014リード 16歳 2位
2015年8月:第18回JOCジュニアオリンピックカップ大会リード 18歳 2位
2016年6月:第30回リード・ジャパンカップ盛岡 日本 リード 19歳 2位
2017年1月:第12回ボルダリング・ジャパンカップ6位 19歳
主な戦績【国際】
2010年6月:IFSC クライミング・アジアユース選手権 シンガポール リード 13歳 2位
2011年8月:IFSC 世界ユース選手権 イムスト 2011 オーストリア リード 14歳 25位
2013年8月:IFSC 世界ユース選手権 セントラル・サーニッチ 2013 カナダ リード 16歳 9位
2016年4月:IFSC クライミング・ワールドカップ(B,S)重慶 2016 中国 ボルダリング4位
2016年8月:IFSC クライミング・アジア選手権 都匀 2016 中国 リード 19歳 5位
2016年8月:IFSC クライミング・アジア選手権 都匀 2016 中国 ボルダー 19歳 5位
東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ―4―の楢崎明智選手からのバトンを受け取ってくれたのは、世界の選手の中でも最も小柄かもしれない小武芽生選手。文字通り「山椒は小粒でピリリと辛い」のとおり、身長差、リーチ差をものともしない戦いぶりは注目の的です。初の国内開催となったボルダリングワールドカップ2017の第4戦・八王子大会決勝戦でも、その雄姿は輝いていました。 今回はその驚異の活躍の源をとくと伺ってみました。
たまたま家の近くにあったクライミングジム
小学5年生から初めて
間もなく「人生の半分」がクライミングに!
小玉:大学での専攻は?
小武:食物栄養です。栄養士の資格をとるために勉強しています。今年2年生になります。短大なので来年卒業です。
小玉:専攻の理由は?
小武:食べること作ることが好きで、スポーツと栄養学を関連づけていきたいです。食事によって怪我の予防だったり、パフォーマンスの変化が気になっています。
小玉:専攻とクライミングが関係あるわけですね。体重コントロールで減量のために糖質カットすると、低糖質な体になるわけで、そうするとスタミナ不足になる。補おうとして炭水化物などを摂取すると、それまで体が低糖質になっていた分だけ、反動で体重がついてしまうとはよく聞く話しです。
ボルダーは瞬発力が要求されるでしょうが、リードだと持久力も問われる。栄養学的にいうとそういうとこも加味しながら、食事のコントロールはされていますか?
小武:食べ過ぎないように、適量を心がけています。極端に制限はしていないです。甘いものや油物も制限していないです。制限し過ぎると反動が大きくなったりします。朝ご飯大好きでガッツリ食べますし、お昼ご飯もいっぱい食べます。夜はちょっと、運動しないんだったらご飯を控える、その程度です。
小玉:家族構成は?
小武:母と父と私が長女で妹と弟がいます。でも誰もクライミングやってないんです。
小玉:誰もやってないのにクライミングをはじめたのはいつ?
小武:小学5年生で、新しいことを始めたくて。もうひとつは妹が吹奏楽を始めて、土曜日の午前中に遊んでくれる人がいなくなったから(笑)。それまでは土曜日の午後は器械体操をやってました。
小玉:それで体幹はすごく鍛えられたでしょうね。
小武:運動が好きで、そこで基礎的な力が付けられたと思います。
小玉:小武さんにとってクライミングの存在とは?
小武:今は生活の一部で、食事と睡眠と空気とクライミングみたいな感じ(笑)。一生続けていきますね。
小玉:小学5年生から始めて、ずっとやってらしたの?
小武:はい。
小玉:ローカルなコンペとか初めての経験は?
小武:始めて2ヶ月くらいの時ですかね。リードのコンペに出て優勝できて楽しかった。男女一緒でした。それが大きかったです。それまで、水泳、テニス、スノーホッケーとか、体操とかは、習い事程度で、飽きたら止める感じだったんですけど、クライミングは飽きずに止めようと思ったこともなく。もうすぐ人生の半分がクライミングになります(笑)。
小玉:5年生の時のコンペは自分とクライミングの距離がグーッと接近していった感じですか?
小武:体操は踊ったり綺麗に動くというのが向いていなかった。クライミングは、自分のスタイルが出せるスポーツでした。
小玉:ジムに通う頻度はどんな感じですか?
小武:小学校の時は習い事みたいな感じで、週に1回2回ただ登る感じだったんですけど、中学生になったら週に5回になって、いっぱい登り始めた結果、大会で優勝できるようになった。モチベーションがあがって、週に5回ずっと登っていました。高校生まで。
小玉:部活動は?クライミング部なんてなかったですよね?
小武:なかったです。中学校の時は、何も入らず、高校の時は、軽音部に入っていて、ちょっとドラムを…