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勝手に植物図鑑

フクオウソウ

福王草は「福」「多うそう」?なんちて!

予報とは予想外な気象変化で途中から暴風雨にさらせれて、とんでもない苦渋のクライミングの果てに、ようやく天気が回復した下山時、ノーマルルートとクライミングルートへの分岐に戻ってきて「ああ、ちょうど一周したね」とほっと胸をなでおろした足元にくちゃくちゃとした草花。枝は肝心の上部がへしおられ、なんだがあまりきれいではなかったけれど、一目見て「それ」と感じた。

御在所へ入山初日の11月2日に泊まった日向小屋からほどない「ウサギの耳」にクライミングにでかけた。ビレーポイントの巨岩の基部に草花がツボミをつけていた。11月ともなれば草花など見出すことはまずないだろうと思っていたから一層、全部ツボミが残念に思われた。「きっとキク科だろう」「ニガナの類かもしれない」と思うが、知っているものとはどこか趣が違っていた。「咲き姿、見たいな~」と思った。

だから、枝が折れてく、半分ちゃくちゃになっていても瞬時に同一のものと思った。目の前の花と、2日前見たツボミの個体の像とがあたかも指紋合わせ、もしくは声紋合わせのようにピタッと重なった。

が、この摩訶不思議な輻輳同時性はそれだけではなかった。
山と渓谷社「山に咲く花」で調べると、「フクオウソウ」の和名は福王草であり、最初の発見地、三重県の「福王山」に因んだ、とある。
福王山山麓にある福王神社は聖徳太子により、国の鎮護のために毘沙門天を安置し、建立したとされ、今も祭事や初詣などには地元民がたいそうな賑わいを見せるんだそうな。

御在所岳は三重県と滋賀県の県境に位置し鈴鹿山系の中心的山、福王山とは、すなわち、ご近所、お隣り山だ。
始めて行った御在所でいわば、その地域を代表する草花に遭える奇遇は天恵と言わずして何だろう?

遅咲きの個体がまず初めにツボミ姿でガイドして、次に花をちょい見せしてくれた。恐らく次にこの花を見るときは花の最盛期に違いない。

極端に雄蕊の長い特徴的な咲き姿、忘れまじ!
いや、きっと再会するに決まっている。

花期は8月から9月

撮影年月日 2013/11/04
撮影場所 三重県御在所岳登山道
学名 COMPOSITAE Prenanthes acenifolia
科目・属 キク科フクオウソウ属
季節
生育地 山地の木陰に生える多年草
分布 本州、四国、九州