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レビュー『ロングレッグス』

【映画レビュー】ロングレッグス

シネマピア

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凄惨な連続殺人の現場には、必ず“ロングレッグス”の署名が残されていた……! 「2024年のベストホラー第1位」(VARIETY)、「この10年でいちばん怖い映画」(Flickering Myth)、『羊たちの沈黙』以来、最高の連続殺人鬼映画(AWARDS RADAR)等々、各誌が絶賛するほか、2024年の独立系映画の全米興収NO.1、過去10年における独立系ホラーの全米最高興収など、数々の記録を達成した本作。本作の製作をも兼任したニコラス・ケイジが、40年以上のキャリアで初めて連続殺人鬼役に扮した、話題のサイコスリラー。

1990年代半ば、アメリカ、オレゴン州。FBI支局に勤める新人捜査官のリー・ハーカー(マイカ・モンロー)は、女性かつ若手の新人でありながら、第六感とも言える直感力と推理力を上司から買われ、重大な未解決事件に挑む。ハーカーが捜査を進めるうち、それらの事件にはとある共通点があることを発見するが、と同時にその共通点が自分自身にも当てはまることに気づき……。

レビュー『ロングレッグス』
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先述のAWARDS RADAR誌もその作品名を挙げて本作に言及するように、本作は『羊たちの沈黙』と並び称されるだろう。ジョディ・フォスターが『羊たちの沈黙』でFBI訓練生・クラリスを演じたように、本作で主人公のリー・ハーカーを演じたマイカ・モンローもまた金髪で容姿端麗な女性捜査官だ。どちらも事件現場そのものには耐性がなく、中身はか弱い若き女性だ。『羊たちの沈黙』でクラリスが殺人鬼ハンニバル・レクターから事件解決の糸口を得たように、本作ではハーカー捜査官がとある存在から事件の真相を示唆される。
だが、本作が『羊たちの沈黙』と決定的に違うのは、ハーカー捜査官にとある能力があることだ。作品冒頭からそのことについては示唆されているが、この能力が本作のストーリーを『羊たちの沈黙』とは全く異なる方向に導いていく。キャラクターの見た目や職種から『羊たちの沈黙』が連想させられるのは仕方がないが、『羊たちの沈黙』と本作は、その点では比べられる性質のものではないのではないだろうか。

ニコラス・ケイジ演じる殺人鬼にも、当然ながら注目だ。私はなるべく事前情報を仕入れずに、なるべく先入観なしに作品を観るようにしているのだが、まさか殺人鬼役がニコラス・ケイジだったとは、作品資料ほ読むまで夢にも思わなかった。名優ここに極まれり。
特に、この殺人鬼が車の運転中に叫ぶ台詞。善や悪といった2極をも超越した悲しみを表す言葉を、私は他に知らない。

監督のオズグッド・パーキンスは、アルフレッド・ヒッチコックの名作『サイコ』の主演俳優、アンソニー・パーキンスの息子だ。幼少期からホラーに慣れ親しんだ監督が織りなす、息もつかせぬような静かな恐怖に、是非身も心も怯えきっていただきたい。

監督・脚本:オズグッド・パーキンス
出演:マイカ・モンロー(『イット・フォローズ』、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』)、ニコラス・ケイジ(『マッシブ・タレント』、『ドリーム・シナリオ』)、ブレア・アンダーウッド(『ディープ・インパクト』)、アリシア・ウィット(『88ミニッツ』、『バニラ・スカイ』)
配給:松竹
公開:2025年3月14日(金)、新宿ピカデリーほか全国公開
公式サイトhttps://movies.shochiku.co.jp/longlegs/

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記:林田久美子  2025 / 02 / 05