【映画レビュー】フェザーズ その家に巣食うもの
男の家に突然現れたカラス。その正体は、その意図は? 最愛の者を亡くしたとき、人はどう再起していくのか……? 『アベンジャーズ』シリーズのベネディクト・カンバーバッチが主役の本作、原作は全世界で22万部を突破するベストセラー、マックス・ポーター著『悲しみは羽根をまとって』。この映画化に先立ち、2019年にオスカー男優、キリアン・マーフィー主演ですでに舞台化され、マーフィーがアイリッシュ・タイムズ演劇賞の最優秀男優賞を受賞する等、すでに各所から高評価を得ている物語。クロウ(カラス)の声を担当したのは、『ハリー・ポッター』シリーズへの出演でも知られる実力派男優のデイヴィッド・シューリス。主人公の幼い息子役を演じたのは、本作でデビューを飾った実の双子の兄弟。CG全盛の昨今ながら敢えてCGを使わずに、愛する者を失った極限の悲しみをゴシック風かつダークで特異な幻想として描き出す。
最愛の妻を突然亡くした、コミック・アーティストの父親。慣れない家事に追われながら、幼いふたりの息子の面倒に追われる日々が始まる。そんな折、1本の奇妙な電話が彼の生活を脅かしていく……。











誰もが、愛する誰かを亡くしたことがあるだろう。或いは”亡くす”までいかなくとも、”無くす”、すなわち自分の願いとは逆に愛する人が自分から離れていったことが、1度はあるのではないだろうか。本作は、そうした愛する人の”喪失”から、どうやって人は立ち直っていくのかを描いた作品だ。
古今東西、全世界的にも死を象徴するカラス。死んだ先には何があるか分からない、見えない。カラスはその姿が真っ黒だからこそ、何も分からない死を連想させるのだろう。
その死の象徴のカラスが、本作の物語を大きく左右する。ある時は主人公を翻弄し、ある時は寄り添い、突き放し、惑わせ、気を紛らわせ、主人公の悲しみの感情を暴力的に揺さぶる。
本作ではカラスが悲しみの象徴として描かれるが、現実世界の我々の悲しみも、本作のように何かに象徴させ、何かに転移させることができたなら、その傷も早く癒えるのかもしれない。
自分の希望だけでは如何ともしがたい、大切な人の喪失という現実。その傷を癒すための道筋を、本作は垣間見せてくれる。
チューリッヒ映画祭にてゴールデン・アイ賞を受賞。原作者のポッターもカメオ出演。


原作:マックス・ポーター『悲しみは羽根をまとって』(早川書房)
監督・脚本:ディラン・サザーン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ(『ドクター・ストレンジ』シリーズ、『アベンジャーズ』シリーズ、「SHERLOCK(シャーロック)」シリーズ)、エリック・ランパール、ヴィネット・ロビンソン、サム・スプルエル、ヘンリー・ボクサル、リチャード・ボクサル
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
公開:3月27日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
公式サイト:https://feathers-film.com/
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記:林田久美子 2026 / 03 / 10





