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第172回 洋楽編 NEAL SCHON ―― 円熟の域に達したかつての早熟ギタリスト……名手ニール・ショーン

ついこの間、11月に入って寒くなったなんて書いたのに、気が付けばもう12月ですよ! 朝晩の寒さもどんどん厳しくなっているし、インフルエンザも流行っているようです。皆様、くれぐれも体調に気をつけて、今年最後の月を健康に乗り切りましょうね! さて、今回ご紹介するのはJOURNEYのギタリスト、ニール・ショーン。JOURNEYのことは前回取り上げたばっかりだけど、ニールのことが全然書けなかったと悔やんでおりましてね。

ニール・ショーンはオクラホマ州出身のアメリカ人ギタリスト。54年生まれだというから、今年で62歳か。この人は昔から老け顔だったのか(失礼!)、あんまりイメージが変わらないんだけど、ニールが今も若々しいルックスを保っているのはJOURNEYが順調だからなのか、ちょっと前に若い奥さんをもらったからなのか……あ、もちろんギターだって衰えていないからね!

ニールはなんと17歳の若さでSANTANAのセカンドギタリストに抜擢され、71年にデビュー。参加した2枚のアルバムには「ほんとに10代?」と、疑ってしまうほどの見事なプレイが残されており、ニールの早熟ぶりがよくわかる。そして、SANTANA脱退後にはJOURNEYを結成、世界的な成功を収めると、サミー・ヘイガーらと組んだHSASや、名キーボーディストのヤン・ハマーと共演するなど、バンド外の活動も積極的に行うようになった(ソロやその他のバンドは後述)。これはやっぱり、ニールの実力がミュージシャン達から評価されていたからこそだと思うんだけど、JOURNEYでのプレイには満足していなかったんじゃないか、という気もする。

SANTANA 『Jungle Strut』
表情にまだまだ初々しさが残るサンタナ時代のニール。 自身も大抜擢された経験があったからこそ、アーネル・ピネダの大抜擢が行われたのかも?!!

というのも、JOURNEY以外でのニールはかなり弾きまくるんだよね。それを知ったのは、HR/HM系アーティストによるチャリティプロジェクトのHEAR ‘N AIDで、ここでのニールは別人のように速弾きを連発している。失礼ながら、こんなに弾ける人だったのかと驚いたよ。ヘヴィメタルが弾けるなんて想像もしていなかったし、JOURNEYではかなり抑えて弾いていたんだと初めて気付いた。JOURNEYが解散していた時期にニールがやっていたバンドはHR/HM系と呼べるバンドが多かったから、ニール自身の音楽性は、JOURNEYよりもっとはっきりとハードロック志向なんだと思う。あくまで個人的な意見だけど、ギタープレイだけに絞るなら、JOURNEY以外のほうがのびのびと弾いている印象だし。そして、そっちのほうが俺は好き。弾きまくるニールはカッコいい。

Neal Schon 『Late Night』
残念ながら音声のみ。ファーストソロアルバムのタイトルトラックです。名演!

俺がJOURNEY以外のニールの活動でとくに気に入っているのが、89年のソロアルバム『Late Night』と、スーパーバンドだったBAD ENGLISHの解散後、92年に加入したHARDLINE。どちらもいまだに愛聴しています。『Late Night』はニールの初ソロアルバムで、ヴォーカルも披露しているけど(普通……)、それよりなにより、メロディアスかつエモーショナルなギターがとにかく素晴らしい。メロディセンスが良いのはJOURNEYで十分にわかっていたことだけど、ここでのニールはそれ以上! 全編に渡ってフィーチャーされているニールのギターは、名シンガーのように見事に歌っている。タイトル通り、夜が深まったあとの濃密な空気を感じさせる楽曲や、エモーショナルなプレイが胸を打つ。深夜のドライブのお供にぴったりです。正直なところ、俺はJOURNEYのファンではあっても、ニール個人にはそれほど興味がなかったんだけど、これを聴いてすっかりファンになりました。

HARDLINE 『Hot Cherie』
こちらも音声のみです。オープニングから弾きまくるニール!   JOURNEYじゃあんまり聴けないよね。ジョニーの歌声もカッコいい!

そして、若手ミュージシャン達のバンドにニールが加入したHARDLINE。ジョニー・ジョエリの歌唱が素晴らしかったこともあり、デビュー作は名盤と言っていいほどの出来でした。ニールがこんなにはっきりとリフ中心のハードロックをプレイするのも珍しかったし、ハードな速弾きもありつつ、エモーショナルな泣きのギターも満載。このバンドもほんとにカッコよかったんだけど、1枚のアルバムとそれに伴うツアーのみであっさりと脱退。その時のコメントがファンとしては残念だった。いわく、「彼らとはリーグが違う」と。トップアーティストであるニールと、駆け出しのほかのメンバーとではいろんな意味でレベルが違ったんだろうし、今更こんなことをやってはいられないと感じたであろうことは、想像に難くない。でも、最初からわかっていたことじゃないの? なんて、リーグが違う俺は悲しくなっちゃいました。

それ以降のニールは様々なアーティストと共演したり、新しいバンドを作ったりと、ひとつところに定住しないイメージだったけど、JOURNEYの完全復活後は、充実した音楽活動を送っているように見える。若々しいルックスを保っているのも、その証じゃないだろうか。来日が待ち遠しいな。

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