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第380回 俺らの音楽編 ―― 音楽総研的、作曲のススメ

先日、古いバンド仲間のライヴに行ってきました。20年以上会ってなかったのかなあ。ほんとに久しぶりだったけど、歳相応に老け込んでいた、なんてことは一切なく、演奏もパフォーマンスも現役感バリバリでカッコよくてね。観ていて嬉しくなりました。俺と同年代(アラフィフ)だと、音楽を生業にしているプロミュージシャンは別として、他に仕事を持っていたり家庭があったりして、バンドを続けていくのはなかなか大変です。俺は独身で子供もいないから、自分の好きなように時間を使えるけど、同年代の旧友たちの中には、もうバンドをやっていないやつらも多いんだよね。

でも、実はここ数年の間でまたバンドを始めたっていう仲間も増えてきています。子供が成人したりとか、会社で偉くなって時間が取りやすくなったりとかで、またやれるようになったみたい。若い頃のことを思うと、そんなに大きな子供がいるのかとか、お前が部長なの? なんて驚いてしまうけど、バンド仲間が増えるのは大歓迎。やっぱりバンドやりたかったんじゃーん、って嬉しくなっちゃう。……さて、今回の音楽総研は『音楽総研的、作曲のススメ』! 唐突なようですが、この長い前置きともちゃんと関係ありますよ。

音楽総研を読んでくださっているのは音楽が好きな人ばかりだと思うんだけど、バンドをやっているとか、作曲したことがあるっていう人はどれくらいいるのかな? バンドをやったことがある人はそれなりにいそうだけど、作曲をしたことがある人は意外と少ないのかなあ……。というのも、コピーバンドをやっている人もいるだろうし、オリジナル曲をやるバンドでも、作曲しないメンバーもいるしね。で、どちらが良い悪いってことではないんだけど、個人的にはね、音楽をやるなら作曲(アレンジも含む)経験は絶対にあったほうがいい、と思っています。コピバンでも、プロを目指していなくても、ね。

『必見!!MIYAKO流ヘヴィメタルDEMO作りPart.1 ~ざっくりワンコーラス編~』
LOVEBITESのmiyakoが作曲の様子(デモ作り)を紹介してくれています。指ドラム上手い!

作曲の経験がない人は、作曲なんて特別な才能がある人しかできない、と思っているかもしれないけど、交響曲の作曲でもない限り、想像しているほど難しいものではないです。何をもって作曲というかは難しいけど……主旋律を書けば作曲なのか、ギターリフを書いたら作曲なのか、という線引きは以前にも書いたのでそちらを読んでもらうとして、皆さん、お風呂に入っている時に聴いたことのない鼻歌を歌っていたことはありませんか? あるいは子供の頃に自分の行動に節をつけて歌っていたことは? それだって作曲と言えば作曲です。俺はその両方をだいぶおじさんになった今でもやっていて、バンドでやっている作曲はその延長線上だったりします。歌メロの最初のアイディアは、ほぼお風呂に入っている時の鼻歌だし。まあ、そうやって浮かんだものを形にして、しかも鑑賞に堪える完成度にするとなると、やはり楽器ができたり、それなりの才能があったりしたほうがいいけどね。でも、一人じゃ無理ならできる人に手伝ってもらえばいいし、それこそ今はAIがある。AIではなく、自分でできるようになろう、というのが今回のテーマなんですが。

『【作曲】才能を使わず良いメロディを作る裏技【DTM】』
DAWを使ったメロディの作り方。裏技とあるように、こんなやり方もありますよ、といった手法の紹介。こんなやり方もあるんだね……

さて、なぜ音楽をやるなら作曲経験をしておいたほうがいいかというと、それはやっぱり、曲そのものに対する理解度がまったく違ってくるからです。自分で書いていると、休符の位置が違うとものすごく印象が変わるな、絶対にこの位置じゃないとダメだ、なんてことを考えるものだけど、自分で書いた経験がないとその重要性に気付かなかったりもする。そして、楽器のアレンジでも同じで、歌のメロディがこうだから、ギターはこう弾こうとか、ドラムがこう叩いているからベースはこう……という感じで、自分のパートだけでなく曲全体のことを考えられるようになるし、人の曲を演奏する時にも、アレンジの意味や、作曲者のこだわったポイントが理解できるようになるんだよね。歌詞とメロディの関係なんかでもそう。明るいメロディなのに切ない歌詞が乗っているぞ、とかね。そういう考え方で楽曲を捉えられるようになる。

ちょっと話がそれるけど、以前、『セクシー田中さん』の原作改変問題に触れた時に、自分の曲を勝手に変えられてしまうことについてあれこれと書きましたが、やっぱりね、勝手に変えてもいいと思っている人は、どうしてそのメロディでそのアレンジなのか、っていうことに考えが至っていなさそうだから、作曲やアレンジの経験がないか、少ないんだろうな、と思ってしまう。俺がバックバンドでギターを弾いたり、他のメンバーが書いた曲を演奏したりする時は、完成形があるのなら、まず完コピ(1音も違わず完全にコピーすること)する。そしてもしも、こうしたらもっと良くなりそうだというアイディアが浮かべば、作曲者の意図を汲んだうえで、こういうアプローチもあるけどどう? って提案します。自分がこうしたいから、じゃないよ。そしてそれがイメージと違うなら当然オリジナル通りに戻す(そのための完コピでもある)。これ、当たり前だと思うんだけどなあ。ちなみに、クラシックじゃメロディを変えたりアレンジしたりするのはご法度。ロックはそこまで厳格じゃないけど、まあ程度によるよね。

そして、作曲を勧める理由をもうひとつ。バンドがやりたいのにやれず(やらず?)に燻っている人たち! やれない理由はいろいろあるだろうし、健康上の問題だったりでどうしてもやれない人もいると思う。でもね、健康で時間もあるのに、何もしていないんだとしたら……、それがもしも一緒にやる人がいないという理由なら、まずは一人で始めてみなよ、と声を大にして言いたい。作曲は一人でもできるじゃん。歌えないならインストでもいいし、初音ミクとかのソフトに歌わせてもいい。楽器が出来ないなら、打ち込みって方法もある。そして打ち込みを覚えたら音源を作ろう。何年かかってもいい。完成した自作曲は発表したら名刺代わりになるし、バンドに誘われるかもしれない。家で一人で演奏しているだけじゃ、誰もあなたのことを見つけてくれないよ。もちろんカバー曲でもいいけど、先に書いたように、音楽への理解度が増すし、絶対に作曲できるようになったほうがいい。自分の個性もアピールできるしね。そしてなにより、一曲完成させた時の達成感たるや!

はじめのうちは満足のいく曲が書けないかもしれない。でもね、そんなの誰だってそうです。本気で続ければそのうち書けるようになる。四の五の言わずにまずは一曲、形にしてみよう。今はYouTubeなんかで作曲のコツを教えてくれる動画もいっぱいあるし、自作曲を世界中に配信することだってできる。デジタル技術の進歩やインターネットの普及のおかげで、クリエイティヴなことを始めるハードルが低くなっています。一歩踏み出せるかどうかはあなた次第! がんばれ!

『【ボカロPになりたい人向け】DTM初心者でも分かるVOCALOID 初音ミクの打ち込みのやり方・方法(基礎編)』
初音ミクの使い方解説。俺は使ったことないんだけど、ちょっと興味が出てきました。凄いね

※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
ストリーミング&ダウンロードはこちらから
https://linkco.re/vPZ00Quz?lang=ja

※ikkieのYouTubeチャンネルです!
https://www.youtube.com/channel/UC-WSajndNhq0tu7K7-MBEmQ?view_as=subscriber