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渡部桂太 ―― 2020年東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ―8―

VIVA ASOBIST, スポーツ

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企業正式入社、クライマーとしては初!
先陣を切って
クライマーが修練に専念できる環境作りの第一歩

小玉:所属のことでお聞きします。住友電装さんは四日市が本社ですね。
渡部:そうです。明日、出社するのですが、多くて月一回、出社します。広報グループに所属していて、主に広報活動がメインです。結果や近況を報告して、グループ報とか社内報とかにコメントを書いたりもします。

小玉:四日市に出社ですか?
渡部:はい。形態も特殊ですし、就職できたこともあまり例がないと。

小玉:例がないどころか初めてでしょ。クライマーでは。
渡部:クライミング関連の企業ではもしかしたらあるかもしれませんが、クライミング関連以外の企業では初めてだと思います。

小玉:スポーツメーカーでもないですしね。
渡部:まったく関係ないですね。

小玉:高校の時の専攻とは関係ありますよね?
渡部:専門学校ですか?全然関係ないです。僕がただ車が好きなだけです。整備士の国家資格がとりたかったので、そういう専門学校を選びました。入社した会社と繋がりはないです。

小玉:車のパーツを作っている会社ですか?
渡部:カプラーですね。コネクターの線と線を結ぶ部品です。何十年後かに実用化される技術開発を手掛けていたり、ハーネス製造、電線もそうです。どのメーカーの車にもついてる。縁の下の力持ち。

ボルダリング ハウスノット・名古屋で開催された「ホジゾラセッション3rd」に講師として参加。2018年10月

*ボルダリング ハウスノット:BOULERING HOUSE KNOT

小玉:お給料制なんですか?
渡部:給料制です。他の社員と変わらないです。

小玉:それは、助かりますね。遠征の費用に関してもサポートがあるんですか?
渡部:国内外問わず、日本代表や県の代表で動く時、協会から支給されない場合は、会社で負担していただくことがあります。普段の練習は出ないです。

小玉:それは、おめでとうございますって感じです。みんな、それで苦労しています。勝ったからって一銭にもならない中、持ち出しだけでやってらっしゃるわけだから。
電装さんから声がかかったんですか?
渡部:結果的にそうです。

小玉:そのようなケースが増えていけばいいですね。
渡部:今後クライミングのスポーツとしての格が上がれば可能性も高まると期待しています。僕は僕で、今回2位になったから(2018年11月のIFSC-ACCクライミング アジア選手権 倉吉 ボルダリングで渡部選手は準優勝している)スポンサーが付かないかなと期待しましたが、付きませんでした。それが実現できる流れができれば、もっとクライミングに関わる企業が増えるはずです。今のオリンピックに乗っかる企業はオリンピックが終わった後は手を退くので、クライミングに関わっていこうという企業を増やすことが僕らの世代の責任なのかもしれない。

小玉:そうですね。そういう意味で、どんどんたくさん人口が増えて裾野が広がっていく方がいいですね。渡部さんのようなケースは他のクライマーにとっても、光だと思います。
渡部:そうなれるように。

小玉:四日市以外に拠点を置いて活動できるのはすごいですね。
渡部:それは、就職する時に話して、練習環境はいろんなところに行く必要があるからと。出社回数なども、入社に関わった社員の方にいろいろ配慮していただきました。

小玉:今は、バイトしなくても良い感じ?
渡部:そうですね、バイトしなくても生きてはいけますが、プラスアルファがあった時は、お金があった方が良いので、そこに対する必要なお金は、稼ぐべきだろうなと思うし、あまりにもそういう状況に慣れてしまうと、仕事をするという感覚が薄れて。もちろん優勝することや成績を出すことが仕事なんですけど。一般社会人として、今のような伝える立場にいたり、大会のゲストだったり、セットもしたり、いろんなことに関わり合っていくことは嫌いじゃない。

小玉:電装さん以外にサポートが付くことも認められているのですね?
渡部:問題ありません。競合他社も少ないですし。自分がなんのためにスポンサーして欲しいかを明確にすれば。

小玉:スポルティバは物品の供給?
渡部:そうです。昔から好きで使っていたので。

第73回国民体育大会・福井しあわせ元気国体、2018年10月。三重県成年男子で出場。写真提供義村昌伸さん(住友電装株式会社)
愛用のシューズとチョークバッグ・スポルティバジャパン

*住友電装(本社・三重県四日市市、川井文義社長)は2017年9月19日、渡部桂太選手(24)を18日付で採用したと発表している。同社は2021年に県内で開催する国民体育大会「三重とこわか国体」に向けてトップアスリートの採用を行っている。昨年4月には女子ラグビー選手が2人入社した。

https://www.sws.co.jp/