戸田萌希 ―― 2020年東京オリンピック・スポーツクライミング応援シリーズ―2―
どこまでも上り詰めて世界へ、てっぺんへ!
小玉:世界のクライミング界を彩るひとつの石となっているっていうような自己認識は感じられますか?
戸田:そこまで自分が凄いとは思えなくて、どれだけ大会で良い成績を残しても、自分が強いとは思えない。上には上がいるし、「もっと頑張らないといけない」という思いです。
小玉:某サイトの選手紹介のページに、戸田さんの想いとして「大会も岩も、世界に出たい。どこまでも登り詰めていきたい」とありましたけど、そんな感じですね?
戸田:そうですね。もっと強くなって、国際的な世界に出ていきたいし、日本の代表として活躍していきたいと思います。
小玉:ワールドカップもそうですが、世界の大会などで学校を休むの大変でしょ?
戸田:大変です。去年初めてワールドカップに出たんですけど、高校入学してすぐだったので、学校の理解も浅かったこともあり、最初のうちは、夏休中の開催っだったドイツ大会だけにしました。今ではちょくちょく「公欠」とらせてもらっています(笑)
小玉:学校も理解してくれてきているのですね。
戸田:そうですね。
小玉:食べるものは、なにが好きですか?
戸田:肉とチーズ系、最近はアボカド。
小玉:ぶどうは?
戸田:好きです。ぶどうと桃ですね。
小玉:地元ですね。
戸田:母の実家が農園をやってて、ぶどう狩り桃狩りやってます。前から食べてます。
小玉:地元産だから美味しいでしょうね。
戸田:完熟ですから。
小玉:お住まいは市内の中でもにぎやかな方ですか?
戸田:かなり山の方です。静かなところです。
小玉:山菜が採れたりしますか?
戸田:そうですね。たまに、ご近所さんから鹿肉が届いたりします。美味しいです。
小玉:生でも焼いても美味しいし。
戸田:山から降りてきているのをよく見かけます。夜になると塾の帰りとか、鹿が道路を歩いている。野生の動物が多い、そういうところに住んでいます。
小玉:練習頻度はどんな感じですか?
戸田:週、4日から5日。学校帰りに3〜4時間、ジムで登って、家で筋トレと体幹トレーニング、ストレッチなどをします。
小玉:オフ日も設けますよね。何もしないで、デレデレと。
戸田:それが…オフの日も落ち着かなくて、軽く歩いたり走ったり。休んでいる間も周りがどんどん強くなっていく気がして。レストはレストでメリハリをつけないといけないとはわかっているのですが。ついテレビを見ながら腹筋している自分に気が付きます。
小玉:トレーニングはどんな流れですか?
戸田:登る最初のアップとして、5〜3級を4〜5本ずつやって、その後は、仲間とセッションして、登り終わった後のシメで、6〜4級の上り下りを4〜5本ずつみたいな感じで毎日。
小玉:ロープって比較的出来るところが少ないから、どっちかというとボルダー?
戸田:そうですね。ロープを始めたのが中1の時で、スタートは遅い方でした。
小玉:ロープの練習はどこで?
戸田:ピラニアです。
小玉:自分の特長としてどういう系のルートに強いですか?
戸田:パワフル系です。傾斜が強めのところで、自分のフィジカルを生かして登るのが得意だし好きです。
小玉:ぶら下がっても、平気な感じですね?
戸田:はい。スラブとか傾斜のないところの方が苦手です。ゆるい傾斜のバランス系とかつまり繊細な動きが苦手で。
小玉:大会などでは、たとえば凹角壁をバランスを取りながらステミングで上がっていくというような課題もありますよね。
*ステミング:stemming 開脚。凹角でよく用いられるフットワーク。「ブリッジング」ともいう。
戸田:そうですね最近、ゆるい傾斜の課題もコンペでたくさん出てきています。
小玉:やはり数やって、いろんなジムに行くのは必要でしょうね。ジムによって特長もあるでしょうし。たくさん経験を積むと大会の時のオブザベーションに役に立つのではないですか?
*オブザベ―ション:オブザベ observation ルートの下見。オンサイトするための重要な作業。コンペでは通常、6 分間が与えられる。
戸田:そうですね、やはりそこの見極めがけっこう難しいですね。日ごろから様々な課題をやっておかないと、どういう行き方があるかわからない。
小玉:いろんなホールドメーカーさんがあるから、形状やその特長などをつかまえる訓練も必要なんでしょうね。
戸田:特にホームジムでは、あんまりそういう課題がない。最近の大会は大きいホールドがたくさん付いていていますが、ホームジムはジム自体が小さいし、壁も良い方ではないので、そういう課題はなかなか触れられない。土日に県外に出て、特徴的な課題に慣れるようにしています。